NECとNECのマレーシア現地法人であるNEC Corporation of Malaysiaは3月22日、Software-Defined Wide Area Network(SD-WAN)の実証実験を、マレーシアのクアラルンプール大学と共同で実施したと発表した。今回の取り組みは、総務省からの請負事業「ASEAN諸国におけるSD-WANセキュリティ共通基盤の構築に向けた調査検討」として、昨年9月より実施してきたものとなる。

SD-WANは、広域網(WAN)を構成するネットワーク機器およびセキュリティの集中制御により、柔軟で効率的なネットワーク運用や、サイバー攻撃などへの対応力向上を実現するという。

実証実験では、クアラルンプール大学が実際に運用中のWANと同じ機器構成の実証用環境を構築し、その環境に同社のSD-WANセキュリティ共通基盤を導入することで、既存のネットワーク機器を活用しながらSD-WANを容易に構築できることを実証した。

  • クアラルンプール大学に構築したSD-WAN実証環境のイメージ

    クアラルンプール大学に構築したSD-WAN実証環境のイメージ

また、技術実証の一環として、SD-WANの特徴である通信トラフィックの可視化や、アプリケーションにあわせた通信経路の最適化、多拠点に分散する機器のセキュリティ設定の一斉変更などが実現できることも確認した。

同社は、実証実験にオープンオーケストレーションフレームワーク(OpenMSA)を活用したSD-WANセキュリティ共通基盤を利用し、同システムは既存のネットワーク環境に大きな変更を加えることなく導入可能なため、ユーザはSD-WAN構築時の初期投資を抑えることができるという。今後、同システムをグローバルに拡販していく方針だ。

実証実験の成功を受け、クアラルンプール大学はネットワーク技術者を目指す学生の育成およびSD-WANを含む最新のネットワーク技術の研究を推進する施設として、同大学内に「UniKL-NEC SDx Centre of Excellence」を開設することを決定。

一方、NEC Corporation of Malaysiaは、同施設における実習・演習用の設備として、SD-WANセキュリティ共通基盤の核となるオープンオーケストレーションフレームワーク(OpenMSA)を提供する。NECは今後、クアラルンプール大学と連携し、同施設を活用したASEAN諸国の大学との共同研究や産学連携を推進することで、各国におけるSD-WANの認知拡大やSD-WAN関連事業の拡大を目指す。