日本のインターネットサービスプロバイダであり、MVNOでもあるインターネットイニシアティブ(IIJ)が、オンキヨーと共同でMWCに初めての出展を果たしました。
IIJがMVNOとしての事業を開始したのは2008年。2018年に10年の節目を迎え、フルMVNOのサービスを立ち上げたことをひとつの契機として、今回MWCへの出展を決めたそうです。IIJではこれまで、日本を中心にMVNOとしての事業を伸ばしてきましたが、あらためてフルMVNOとなり、移動体通信のコアとなるネットワーク設備を自ら運用することで、高効率かつ柔軟なサービスを提供できるようになりました。契約者へのモバイルネットワーク回線の開通処理をシンプルかつ、スムーズに行えることなどがその例です。
IIJが海外イベントに出展する背景には、フルMVNOになり、海外の事業社のネットワークを利用するサービス(国際ローミングなど)を、海外のモバイル事業社と直接交渉できるようになったことがあります。
また、フルMVNOは独自にSIMベンダーから調達したSIMカードによって、さまざまなサービスを主体的に提供できます。書き換え可能なeSIMのサービスもそのひとつ。遠隔から開通作業が可能になるため、海外から日本に訪れる外国人の観光客がeSIM対応のデバイスを持参して、IIJのネットワークを選んでモバイル通信を行うといったことが、将来できるようになります。
eSIMの活用は、MWCで注目されるコネクテッドカーのようなIoTデバイスに対しても有効な手段になります。IIJはスモールIoTデバイス向けLPWA(Low Power Wide Area)の技術にもいち早く取り組んでいるMVNO。その知見を活かして、海外のビジネスパートナーに多彩な通信ネットワーク技術を提案、提供できることがIIJの強みであるといえそうです。
共同でブースを構えるオンキヨーでは、独自の加振器ユニット「Vibtone」を車載用サウンドシステムに活用するアイデアを展示していました。自動車のボンネットの裏側にアクチュエーター(振動素子)を貼り付け、電気信号を送りこむと、箱状のボンネットが振動して音を鳴らす仕組みです。オンキヨーが得意とするマイクロフォンの技術と併用することによって、AIアシスタントを搭載した車載用スマートスピーカーの開発も容易にできるようになります。IIJの展示も、MWCで世界各国から集う来場者の視線を引きつけていました。