絞り開放での描写でも、エッジのキレはなかなか上々。少し絞れば、より引き締まった描写になります。12-100mm F4 IS PROのように、開放絞りからカリカリの解像感というわけにはいきませんが、コントラストがいくぶん高めなので好ましい描写が得られます。

画面の周辺が暗くなる周辺減光は、開放絞りだとすべての焦点距離でちょっと目立つものの、こちらも少し絞れば大きく改善します。ゴーストやフレアの発生もよく抑えられており、逆光でも気にせず撮影が楽しめるレンズだと感じました。

  • 焦点距離はワイド端の28mm相当、絞りは開放から1段以上絞ったF5.6としています。高倍率ズームとしてはシャープネスが高く、ヌケのよい描写です。ディストーションも良好に抑えられています(28mm相当、ISO200、1/250秒、F5.6、-0.7補正)

  • ピントは、窓の奥に見える明るいランプシェードに合わせています。焦点距離は112mm相当ですが、ディストーションの発生をよく抑えています(56mm相当、ISO200、1/160秒、F5.8、-0.3補正)

  • 弱い逆光ですが、フレアやゴーストの発生、シャープネスの低下などもなく、良好な写りといえるでしょう(74mm相当、ISO200、1/2500秒、F8.0、-0.7補正)

  • 開放に近い絞り値で撮影しています。さほど大きくはボケていませんが、前ボケは素直な印象です。中望遠域の80mm相当での撮影ですが、この条件で大きなボケを得るのは残念ながら難しいようです(40mm相当、ISO200、1/160秒、F5.3)

  • 中望遠域といえる112mm相当で撮影。半逆光となったビルの壁面のディテールをシャープに捉えています。絞りはF5.8ですが、画面周辺部の光量低下はほとんど気にならないレベルです(112mm相当、ISO200、1/800秒、F5.8、-0.3補正)

  • ワイド端の24mm相当、絞りはF8で撮影しています。画面周辺部まできっちりと描写しており、色のにじみや解像感の低下など見受けられません。ヌケのよいすっきりとした写りです(24mm相当、ISO200、1/1000秒、F8.0、-1補正)

  • 絞りはF5.6としました。周辺部まで細かな部分もしっかり結像しており、文句のない写りです。周辺減光の発生もまったく気にならないレベルです(46mm相当、ISO200、1/1000秒、F5.6、-0.3補正)

群を抜く高倍率ながら軽量でコンパクトなこのレンズは、旅行や運動会、日ごろのお出かけなどで便利に活躍してくれるでしょう。前述のとおり写りは良好ですので、オリンパスのミラーレスユーザーにとって満足度の高いレンズがまたひとつ増えたといえます。価格もそこそこお手ごろで、フルサイズミラーレスを使っている人もうらやましく感じる存在になりそうです。

著者プロフィール
大浦タケシ

大浦タケシ

宮崎県都城市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、雑誌カメラマンやデザイン企画会社を経てフォトグラファーとして独立。以後、カメラ誌および一般紙、Web媒体を中心に多方面で活動を行う。2018年は写真展(個展)が開催できず猛省。今年は少なくとも写真を撮りため、写真展の足がかりをつくりたいと考えています。日本写真家協会(JPS)会員。