米国で開催された家電関連見本市「CES 2019」でも、いくつかのカメラメーカーがカメラの展示を行っていました。本稿では、そうした出展物のなかから、特に興味を持ったものをピックアップして取り上げたいと思います。

新趣向のカメラが目を引いたキヤノン

キヤノンブースでは、3種類のコンセプトモデルが展示されていました。

1つ目は、子ども向けカメラ「キッズミッションカメラ」。小さな子どもでもカメラを楽しく使えるような工夫を凝らした製品です。デジタル一眼レフカメラ風の愛らしいデザインで、形状的に両手で構えることになるので安定して撮影できますし、大型ファインダーも使いやすそう。子ども向けということで、耐衝撃や防水防塵といった性能も確保していきたいということです。

  • EOS Kissシリーズのような一眼レフカメラ似のデザインを採用する子ども向けの「キッズミッションカメラ」。レンズ周囲の白い部分はリングライトです

レンズ性能など詳細なスペックは未定ですが、カメラとして使いやすいある程度のズームレンジを備えるということです。さらに、レンズの周囲にリングライトを設け、マクロ撮影時に被写体を明るく照らして撮影する、という工夫も盛り込んでいます。

これだけなら普通のキッズ向けカメラですが、面白いのが製品名にもなっている「ミッションモード」。「絵文字と同じ表情を撮影する」「同じ色の被写体を撮影する」「猫の目線で撮影する」「お母さんの指令に応える」といったミッションが背面液晶に表示され、子どもがその指示に従って写真を撮る、というものです。

  • 展示されていたのはモックアップですが、背面にファインダーや液晶パネルが備わり、大きなボタンで操作のしやすさに配慮していることがうかがえます。背面液晶には特徴的なミッションモードが表示されている

笑顔の絵文字があれば、家族や友人などに「笑って」と言いながら写真を撮ることになるでしょう。お母さんから「お父さんの変顔を撮って」と指示されたら、「お父さん、もっと変な顔して!」とコミニュケーションを取りながら撮影できるわけです。

ほかにも、テーマパークなどに用意されたQRコードを読み込むと、「遊園地のキャラクターを撮影する」といったような遊園地内でのミッションが表示される展開も想定しているそう。子どもとの接点を持ちたいと考える企業とコラボレーションして誘導する、といった連携もできそうです。

  • テーマパークなどと連携したミッションで子どもたちを誘導する、といった方向性も

撮影した写真は、同社のZINK採用ポータブルプリンター「IVY Mini Photo Printer」(日本では「iNSPiC PV-123」)を使ってプリントしたり、子ども向けの共有サイトにアップロードしたりできます。プリントやシェアはスマートフォンで指定する仕組みなので、事前に保護者のチェックを経てからでないと実行されない点はよい考え方だと感じました。

  • 撮影した画像は小型フォトプリンターでプリント。ミッションモード用の台紙に入れて飾ったりできます

子ども向けカメラとしてはよく考えられて面白いコンセプトだと感じました。子どものころからカメラ、特に「両手で構えるカメラらしいカメラ」に親しんでもらい、将来的なユーザーの獲得につなげたい、という狙いがあるようです。今回公開されたのは開発途上のコンセプトモデルで、来場者の意見も聞きつつブラッシュアップしていくとのことです。

1万円前後のカラビナ風タフネスカメラも

キヤノンのもう1つのコンセプトモデルは「アウトドアアクティビティカメラ」。おしゃれなスティック型デザインながら高いタフネス性能を備えていて、アクティブなシーンでの撮影に適したカメラとして開発したそう。カラビナのようにリュックなどに取り付けていつでも持ち歩け、サッと取り出して撮影する、という用途を提案しています。

  • スティック型の「アウトドアアクティビティカメラ」。カラビナ風の外観でバッグなどに装着できます

レンズは単焦点で背面液晶すらないシンプルな構造ですが、カラビナのように空いた穴の部分をのぞいてファインダー代わりにフレーミングする、という面白い考え方のカメラです。

  • 背面は液晶パネルもなくシンプル。光軸のズレはあるものの、カラビナの穴からのぞいてフレーミングできるそう

最大の特徴は「価格はかなり安く、ラフに扱える」という点です。タフネス性能は備えつつも、乱暴に使って万が一壊れてもそれほど痛くない、といった価格帯を目指しているとのことで、具体的には100ドル(約1万800円)未満を想定しているそうです。

  • 前面パネルの交換でカスタマイズも可能で、オリジナルの外観を作れるようにする構想もあるそう

こちらの発売は年内を見込んでおり、9月から開かれるラグビーワールドカップ前後の発表を想定しているそう。2月末から横浜で開かれるCP+でも出展を予定しているといいます。

被写体を自動で追いかける超広角カメラも

最後が、「インテリジェントコンパクトカメラ」と銘打たれたコンセプトモデルです。見た目は「THETA」などの全天球カメラに似ていますが、35mm判換算で19~57mmの光学3倍ズームレンズを搭載し、360度のパン(回転)と110度のチルト(上下)に対応するのが特徴です。

  • 監視カメラのようなデザインの「インテリジェントコンパクトカメラ」

このカメラは、1回の撮影で全天球を撮影するのではなく、被写体を追尾して撮影するというカメラです。同社がこれまで培った顔検出技術を使い、人の顔を検出して自動で追尾するそう。常に人を検出して撮影し続けるライフログカメラのような使い方も可能としており、アウトドアに持ち出して常時撮影して使うといった提案もされていました。このデザインながらタフネス性能を備えるほか、スマートフォンでの遠隔撮影機能も搭載する見込みだそうです。

  • デザインはまだ確定ではないそうですが、チルトとパンに加えて、光学3倍ズームレンズを搭載しているのが特徴

  • ライフログのように、常時撮影しておくことを想定

「来年のCESでは製品版を出展したい」とのことで、開発自体は前述の子ども向けカメラよりも進んでいる様子。価格は500ドル(約5万4500円)未満を想定しているとのことです。

サイズも価格も手ごろな8Kカメラ、シャープ

シャープブースに展示されていたのが、8K動画撮影に対応したマイクロフォーサーズ採用のミラーレスビデオカメラです。当初は展示されていなかったのですが、急きょ展示したとのことです。モックアップのため、残念ながら動作はしませんでした。

  • マイクロフォーサーズレンズを装着したシャープの8Kビデオカメラのモックアップ

8K対応ビデオカメラとしてはかなりコンパクトに仕上がっており、外観はちょっと大きめのミラーレスといった印象。参考出品ということでデザインは最終ではないそうですが、コンパクトサイズを目指しているのは間違いないようです。

  • 2軸回転式のモニターを搭載。背面いっぱいのサイズで、かなり大型です

  • モニターを手前に向ければ自分撮りもできる

  • 上から見たところ。レンズのサイズを考えると、比較的大ぶりなボディですが、8Kビデオカメラとして考えればコンパクトです

  • しっかりとしたグリップも搭載

センサーは、昨年のCEATEC JAPANでシャープが出展していたものだといいます。有効画素数は約3200万画素で、8K解像度の動画撮影に対応。8Kでは30p、4Kでは60pの読み出しに対応しているそうです。

センサー以外のスペックはほとんど明らかにされませんでしたが、プロからハイアマチュア、一般ユーザーまで幅広い層をターゲットに、2019年度上期中の製品化を目指すとしています。価格は未定ながら、3,000~4,000ドル(約32万6000円~43万5000円)程度を目標にしているとのこと。製品化は未定で、CP+への出展予定は残念ながらないそうです。

ちなみに、レンズマウントはマイクロフォーサーズを採用しているとのことですが、シャープ自身が規格への賛同をまだ表明していないこともあり、規格の採用について協議中ということでした。とはいえ、サイズといい価格といい、8K撮影を身近にしてくれる製品になりそうです。

ニコンZ用の超広角ズーム、小型軽量で好印象

ニコンブースでは、海外発表したばかりの超広角ズームレンズ「NIKKOR Z 14-30mm f/4 S」を展示していました。Zマウントレンズでもっとも広角の14mmからの範囲をカバーします。サイズは約89×85mm(最大径×全長)で、重さは約485g。フィルター径は82mmです。

  • Zマウントの超広角ズームレンズ「NIKKOR Z 14-30mm f/4 S」。レンズ前面へのフィルター装着が可能なのも特徴です

コントロールリングに絞り値の変更や露出補正を割り当てられるほか、フォーカシング時にピント位置の移動で画角が変化する「フォーカスブリージング」を抑制するなど動画撮影に配慮した性能を備えます。

  • 比較的コンパクトなサイズに仕上がっています。ズームやフォーカスのリングに加え、コントロールリングも装備

小雨でも使える防塵防滴性能のほか、沈胴機構による持ち運び時のコンパクト性なども備えます。米国での価格は1,299.95ドル(約14万1000円)で、日本での発表も楽しみな製品といえます。

  • 標準ズームレンズ「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」(右)と並べたところ

  • 両レンズとも、沈胴機構を備えています