シグマから、写真ファン待望の大口径望遠ズームレンズ「70-200mm F2.8 DG OS HSM | Sports」が登場しました。絞り開放から精細な描写が得られ、オートフォーカスもキビキビと素早く、多くのフォトグラファーの期待に応える1本に仕上がっていると感じました。

  • シグマが12月14日に販売を開始した望遠ズームレンズ「70-200mm F2.8 DG OS HSM」。前評判が高く、一部の店舗では入荷待ちとなっている。希望小売価格は税別19万円で、実売価格は税込み15万円前後。キヤノン用とシグマ用が販売中で、ニコン用は発売日未定となっている

新世代の”シグマ大三元ズーム”が出そろった

これまで、シグマは「14-24mm F2.8 DG OS HSM | Art」「24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art」と、F2.8通しの高性能ズームレンズを2本ラインアップしていました。今回の70-200mm F2.8 DG OS HSMの登場で、いわゆる「大三元ズームレンズ」が新ラインでそろうことになったわけです。14mmから200mmまでのレンジがF2.8の明るさでカバーできるので、この3本を持っていれば日常的なシーンの撮影に困ることはない、といえるでしょう。

レンズの造りはとても精巧で、このクラスのレンズに求められる高級感も十分。軽量化と堅ろう性を両立させるためにマグネシウム合金を積極的に採用したこともあり、重量は1805gとソコソコ抑えられています。使うと体感できるのですが、しっかりとした「剛性感」がこのレンズから伝わってくるのです。マウントの結合部や各リングなどにはシーリングが、前玉には撥水防汚コーティングが施され、防塵防滴となっている点も見逃せません。

絞り開放から積極的に使える

肝心の写りはシグマらしく、絞り開放からシャープでクリーンな絵を提供してくれます。クセがなく、ある意味現代的な描写であるといえるでしょう。加速度センサーを採用した手ぶれ補正機構は約4段分の効果を発揮し、ファインダー像もピタリと安定。スローシャッターでの撮影も不安なく臨めました。

オートフォーカスのスピードもキビキビと小気味よく、飛んでいるユリカモメにも正確に合焦できました。ズームリングのトルク感も適切で、動体の撮影時にも意図した通りのズーミングがスムーズにでき、撮影の道具としての信頼性と操作感を実現していると感じました。アルカスイス互換のしっかりとした三脚座や、ロックボタンを採用したレンズフードなど、細かな点も満足のいく仕上げになっていました。

最短撮影距離は120cm。テレコンバーターにも対応しているので、より望遠域が欲しい撮影でも活躍するに違いありません。スポーツはもとより、ポートレートやスナップ、風景撮影まで、あらゆるシーンで活躍できるレンズとなりそうです。

  • 神社に奉納された酒樽を狙う。ピント面の精細な描写も美しく、前ボケと後ボケも優しく感じられる(EOS 5D Mark IV使用、153mm相当、ISO400、1/200秒、F2.8)

  • ボケ効果と速いシャッタースピードを得るために、望遠域では絞りを開け気味で使用するケースが多い。このレンズのように「芯」のある描写をするレンズは、ためらうことなく絞りを開けるのがよい。ベンチの立体感がとてもいい感じだ(EOS 5D Mark IV使用、200mm相当、ISO400、1/160秒、F2.8)

  • このレンズのオートフォーカスは高速だ。道端に現れたノラネコの瞳に瞬時に合焦できた。そのふくよかな体毛の感じと、溶けゆくようなボケ感がたまらない(EOS 5D Mark IV使用、200mm相当、ISO400、1/125秒、F2.8)

  • 絞り開放でLEDイルミネーションを撮った。画面中心部の真円となったボケと、周辺部のレモン状ボケが美しい。明るく高性能なレンズは低照度下の撮影が楽しくなる(EOS 5D Mark IV使用、200mm相当、ISO400、1/80秒、F2.8)

  • 中野にあるカメラ店に立ち寄った帰り、知り合いのガジェットマニア一家と出会った。その仲のよい様子をワイド端で撮影。このレンズは、ポートレートからスナップ、風景やスポーツまで、幅広いジャンルで重宝しそうである(EOS 5D Mark IV使用、70mm相当、ISO200、1/50秒、F4.0)

  • お不動様にお詣りするシーンを撮った。ワイド端では、緩やかな樽形の収差を見せる。薄曇りの天気だったが、コントラストも色のりも適切であると感じる(EOS 5D Mark IV使用、70mm相当、ISO400、1/250秒、F4.0)

  • 境内の池で泳ぐコイの口元を高速かつ正確に捉えてくれた。素早いオートフォーカスは、実に頼りになる(EOS 5D Mark IV使用、200mm相当、ISO400、1/160秒、F2.8)

  • 操作感がよいのもこのレンズの特徴で、ほどよいトルク感のズームリングは使っていて楽しくなるほどだ。ビルの間から飛び出してきた飛行機にフォーカスしつつ、意図した通りの画角にズーミングしてシャッターを切った(EOS 5D Mark IV使用、166mm相当、ISO100、1/640秒、F2.8)

  • 絞り開放から安定した画質、堅ろう性と質感の高いレンズ本体、ロック付きのレンズフード、アルカスイス互換の三脚座と、このクラスのレンズに求められる要素を高い次元でまとめている。風景やスナップ、スポーツ、ワイルドライフ撮影まで、オールラウンドに活躍する1本だと感じた(EOS 5D Mark IV使用、200mm相当、ISO640、1/400秒、F2.8)

  • このレンズは、動体の撮影でも威力を発揮してくれそうだ。隅田川から向かって飛んできたユリカモメを狙ったが、見事に合焦し続けてくれた。このレンズ、ルックスも性能もバツグンですぞ(EOS 5D Mark IV使用、200mm相当、ISO3200、1/800秒、F4.5)