マイケル・デル氏が語る、企業が取り組むべき4つの変革とは

デルとEMCジャパンは10月19日、プライベートイベント「Dell Technologies Forum 2018」をグランドプリンスホテル新高輪にて開催した。

今年のテーマは「Make It Real」。It=デジタルトランスフォーメーション(DX)を現実のものにというメッセージが込められている。基調講演には、Dell Technologiesの会長兼CEOのマイケル・デル氏らが登壇。「変革を実現し、革新的な未来へ」と題し、テクノロジーやデータの重要性について語られた。

• Dell Technologies Forum 2018の趣旨説明をするデル 代表取締役社長 平手智行氏(左)、EMCジャパン 代表取締役社長 大塚俊彦氏(右)

企業が取り組むべき、4つの変革

企業は今後「デジタル変革(DX)」「IT変革」「ワークフォース変革」「セキュリティ変革」の4つの変革が必要だと訴えるデル氏。なかでも最も重要となるのがDXであるとしたうえで「DXはすべての企業の中心となる」と語る。

「データは今後、より価値の高いものになる一方で、取得のためのコストは下がり、さまざまな種類のデータが大量に得られるようになる。これらビッグデータと、5Gや人工知能(AI)などのテクノロジーが合わさることで、DXの新たな可能性が生まれていくる。我々にとって最優先事項は、どうやってこれらのテクノロジーやデータを活用していくかということ。そのためには、既存のビジネスを考え直す必要がある」(デル氏)

• Dell Technologies 会長兼CEOのマイケル・デル氏

近年、ITをはじめとするテクノロジーが企業戦略に直結するようになってきた。企業は競争優位性を見出すためにソフトウェアをどう活用するかを考え、DXに取り組んでいかなければならない。デル氏は「ITは、もはやIT部門のものだけではない。ITは経営層も含めビジネスのどの部門にも関わるようになってきている」と強調し、PivotalやVMwareについて紹介した。

続いて「IT変革」。デル氏は、Dellが提唱しているSDDC(ソフトウェア・デファインド・データセンター)について「今後、自律型のセルフ・ドライビング・データセンターへと進化していくことで、柔軟にデータに対応することを可能とし、より効率化が期待できる」と説明した。

そして3つ目は「ワークフォース変革」。日本においては「働き方改革」として各社がさまざまな取り組みを進めているところだが、デル氏は「生産性を上げるには、適切なツールが必要」とする。そのうえで、同社が23四半期連続で市場シェアを伸ばしていることを根拠に「われわれはワークフォース変革に最適なツールを提供することができる」と自信を見せる。

最後に「セキュリテイ変革」。デル氏は「すべてがデジタル化する将来においては、セキュリティに注意しておかなければ、他のことができていたとしても無意味なものになってしまう。アーキテクチャの観点からセキュリティを確保する必要があるが、Dell TechnologiesにはRSA、SecureWorksといった企業があるため、セキュリティ変革に貢献していくことができる」と述べた。

日本市場においては2桁成長を続けているDell Technologies。研究開発には年間128億ドルを投資しているという。デル氏は「デジタルの未来はまだ始まったばかり。Dell Technologiesは継続的に投資を進めていくことで、そこに貢献していきたい」と意気込みを語っていた。

デル氏からみた日本、今後の展望

デル氏が会場から寄せられた質問に回答する場面もあったので一部紹介する。

「日本にとってDXはハードルが高い。日本をどのように見ているか」という質問に対しては「私が初めて日本に来たのは20歳のころ。ビジネスだけでなく文化、歴史にも興味があり、家族で旅行するなど来日するのがいつも楽しみだ」と日本への好意的な思いを語ったうえで、「デジタル変革という意味では"新たな日本"が台頭してきた。日本企業はチェンジマネジメントが重要になるが、多くの新しいテクノロジーが出てきているなかで、どうやってこれらを活用していけばよいかわからないという企業も多い。われわれは、日本企業それぞれのビジネスに適した形で、多くのパートナーと共に解決のためのサービスを提供していきたい」と答えた。

また、会社および自身の展望について問われると「テクノロジーはこれからもわれわれの世界をより良くしてくれる。Dell Technologiesがその一翼を担っているのは嬉しいこと。今後も素晴らしいデジタル未来の基盤を創っていきたい」と語っていた。