「ワンナンバーフォン ON-01」は単独の端末ではなく、スマートフォンと併用する「子機」として機能する端末だ。Bluetoothでスマートフォンと接続するタイプの子機はすでに販売されているが、ワンナンバーフォンは単独でLTE通信機能を持った端末であり、親機となる端末と同じ電話番号を割り振る「ワンナンバーサービス」に対応した端末となる。

同サービスに対応した端末としてはApple Watch Series 3以降のGPS+Cellularモデルがあるが、ドコモ側の処理としてはこれと同じことになるようだ。

  • ワンナンバーフォン ON-01

ドコモスマホの”親機”と使う「ワンナンバーフォン」。単独では契約不可

端末自体はLTE接続(VoLTE対応)で、音声通話とSMS機能しか持たない、非常にシンプルな端末だ。ただし前述のようにスマートフォンの子機(アクセサリ)という扱いのため、スマートフォン契約へのオプション(月額500円)扱いとなる。カードケータイのように単独で契約することはできない。

  • アピールポイントは「使い勝手はフィーチャーフォンのまま!」。フィーチャーフォンのラインナップも減ってきたいま、あえてスマホを契約しつつ、実際にはワンナンバーフォン(通話)だけを利用する、という使い方もできそうだ

  • ハードウェアキーの搭載も特徴。押し応えのあるしっかりしたボタンで打ちやすい

電話がかかってきた場合は親機と子機に同時に着信するので、どちらかで受ければいい。かけるときはどちらからもかけられるし、子機で通話中に親機(スマホ)でブラウザや地図を確認したり、メールを読んだりといった作業も可能だ。Bluetooth子機と違って、親機を家に置いたまま子機だけで出かけても、電話をかけたり受けたりできる。

要するに通話限定端末としてはフル機能で、契約だけが特殊なのだ。なお、端末はeSIMを採用しており、ユーザーはSIMの交換ができない。このためMVNOで利用することは(Apple Watchと同様に)できない。

親機として指定できるのはAndroid端末のみで、iPhoneでは子機として利用できない。iPhoneにはApple Watchがあるからいいだろう、ということだろうか(技術的な問題もあるそうだ)。iPhoneユーザーとしては少々寂しいところだが、カードケータイと同様に、大きなスマートフォンを出して通話するのに疲れた人に人気が出そうだ。

  • 背面はロゴもない白一辺倒。試作だから、というわけではなく、完成版のデザインとのこと

市場の成熟から生まれた、スマホ利用を助ける新しい選択肢

カードケータイもワンナンバーフォンも、スマートフォン一辺倒だったラインナップからするとかなり異色な展開ながら、ここ1年前後の市場の動きを振り返ってみると、スマートフォンが成熟してある程度進化の速度が鈍ってきたことに加え、あまりにスマートフォン中心のライフスタイルになり、長時間利用することへの肉体的・精神的な影響が問題視されるようになっている。

今年のGoogle I/Oでも「Digital Well-being」(健全なデジタルライフ)という言葉を多用していたし、Apple Watchのようなコンパニオンデバイスや、iOSのスクリーンタイム、Android 9 Pieの「ダッシュボード」「App Timer」といった機能は、こうした使いすぎ問題に対するプラットフォーム側からの回答といえるだろう。

今後ARやVRが普及すればさらにこの問題への議論は深まることになると思われるが、いずれにしても「今」デジタルデトックスしたいと考えている人にとっては、カードケータイにせよワンナンバーフォンにせよ、スマートフォンとの付き合い方を考える上での便利な選択肢になるのではないだろうか。市場に一石を投じるものになることは間違いない。