AppleはiPhone 7以降、デバイスの防水機能を強化し続けている。iPhone XSではIP68相当となり、防水性能がiPhone Xから1つ向上している。Appleによると水深2mの深さで30分浸水を免れると説明している。

当然Appleとしては推奨する使い方ではないだろうが、「日本人がお風呂でiPhoneを楽しんでいること」を認識しているという話を筆者は耳にしている。そうでなくてもプールサイドや海での使用などで、真水ではない液体に浸す可能性も少なくない。

防水機能の強化は、生活の中であり得る水没やこぼれた水をかぶると入った事態からスマートフォンを守る上で重要な機能となっている。今回のiPhoneではビールの中に浸しても大丈夫、とアピールしており、より安心して利用できるようになった、と考えて良いだろう。

また、内蔵eSIMも防水性能を高める可能性がある。今後、SIMカードを利用する必要がなくなっていけば、SIMカードスロットの存在理由がなくなり、防水性能をより高められるという展開が待っていそうだ。

  • iPhone XS(左)とiPhone X(右)のSIMトレイ。中国版iPhone XS Maxは2枚のSIMを装着できる特殊なトレイが採用されている

  • iPhone XS(手前)とiPhone X(奥)のSIMトレイ

その一方で、前後をガラスで覆われているため、落下に対してはこれまでと同様、割れる可能性は存在している。これには、表面に用いるマテリアルの種類を抑えること、ワイヤレス充電を含む無線技術への対応などが背景にあると推測される。が、ガラスがその美しさを演出するのに一役買っているのは間違いなく、こちらもデザインの完成度とのトレードオフが存在していると言えよう。

松村太郎(まつむらたろう)


1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura