フォトキナの2日目、今回はブースの出展を見送った独カールツァイスが、ケルン市内のXpostというホールでイベントを開催しました。そこで発表されたのが、フルサイズセンサーを搭載したレンズ一体型のコンパクトデジタルカメラ「ZX1」です。ツァイスがカメラ本体を発売するのはフィルムカメラ時代以来で、同社にとってはまさに新分野への参入といえます。
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レンズはDistagonの35mm F2。シャッターはレンズシャッターとなっている
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ZX1の背面。展示方法も縦置きで斬新だと感じた。外装はシンプルで、背面液晶の大きさが目立つ。シャッター速度は半段ずつ、ISO感度は1/3段ずつ設定できるダイヤルが装備されていた
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背面液晶は4.3型と、背面のほとんどを覆うほどの大きさだ。電子ビューファインダーはOLED(有機EL)を使っているとのこと。内蔵OSはAndroidをベースにしており、バージョンは不明。ワイヤレス通信はWi-FiとBluetooth、NFCを搭載している
レンズは、カールツァイスDistagonの35mm F2を搭載しており、レンズ交換式ではありません。センサーは、カールツァイスの設計による35mmフルサイズのCMOSセンサーで、画素数は37.4メガ。レンズとセンサーを一体で設計したことで、デジタル補正の必要がないほど収差やゆがみを抑えているとのことです。
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37.4Mピクセルのフルサイズセンサーと自社設計のレンズとのマッチングは完璧、と説明
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背面液晶は4.3型と大きいうえ、複数の指でのマルチタッチコントロールにも対応。スマホアプリのようなユーザーインターフェースも特徴だ
記録メディアは512GBのSSDで、メモリーカードスロットは設けられていません。接続端子はUSB-C端子×1で、これで給電と高速なデータ転送、HDMI出力によるテレビなどへの映像出力を担います。
ZX1が特徴的なのが、フォトグラファーの写真に関するフローを「Shoot(撮影)→「Edit(現像・編集)」→「Share(シェア)」の3つに分類されると考え、これらのワークフローを1台で済ませられるカメラとして提案していることです。
プレゼンのなかで、「ZX1で大切なEditのソフトウェアはAdobe(アドビシステムズ)が提供する」と発表し、会場はかなりの盛り上がりを見せました。具体的には、カメラ内に現像ソフトの「Adobe Lightroom CC」が搭載され、このクラスでは一番の大きさを誇る背面の4.3型液晶上で、マルチタッチによる操作で現像が行えるといいます。さらに、Shareの機能では、Wi-Fiを介したインターネット接続により、Dropboxなどのクラウドサービスを使って直接バックアップやシェアが行えるのも特徴です。
ハイエンドなレンズとセンサーの組み合わせのみならず、4.3型のマルチタッチ液晶、512GBの大容量SSDを内蔵するなど、高価なデバイスをふんだんに使っていることから高価なモデルになると予想されます。来春に発売とのことなので、CP+ 2019などでの続報を期待しましょう。