2年に一度、ドイツのケルンメッセで開催されるカメラ業界最大の展示会「Photokina」(フォトキナ)。来年からは毎年5月前後の開催に変わり、規模も縮小される見込みの同ショーですが、今年は新製品の発表が目白押しでした。
開幕前日に実施された報道向け発表会では、各社からさまざまなニュースが飛び込んできました。そのなかでも特に驚かされたのが、ライカ、パナソニック、シグマの3社がアライアンスを組み、フルサイズミラーレスカメラの新規格といえる「Lマウント」での協業を発表してきたことです。
ライカは、2014年にAPS-C型センサーを採用したミラーレスカメラ「ライカ T」(のちに「ライカ TL」に名称を変更)を発売し、2015年に同じマウントを採用したフルサイズミラーレスカメラ「ライカ SL」を投入してきました。今回、これらの機種で用いられてきたレンズマウントが、APS-C/フルサイズの両方で使える「Lマウント」と正式に呼ばれることになりました。
さらに、Lマウントを採用するカメラやレンズをライカだけでなくパナソニックやシグマも開発し、Lマウントの普及を図っていくことになったわけです。
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ライカは、Lマウント規格のライカSLシリーズのレンズロードマップを発表。これまでの8本に加え、2020年に3本のレンズが追加される見込み。単焦点レンズの多くがF2の明るさで統一し、コンパクトさと画質のバランスをとっていくようだ
Lマウント対応の「LUMIX Sシリーズ」を発表
続いて、同じ会場でパナソニックのプレスカンファレンスが開かれ、Lマウントを採用するフルサイズミラーレスとして、4,700万画素の「LUMIX S1R」と、2,400万画素の「LUMIX S1」の開発を発表しました。ボディ内手ぶれ補正とレンズ補正を併用して効果を高める「Dual I.S.」に対応し、防塵・防滴・耐低温のプロ向けモデルになるとのことです。
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さらに、今年は世界初のミラーレス一眼「G1」をリリースしてから10年のメモリアルイヤーとなる。G1も、10年前のフォトキナ会場で発表された
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ライカとルミックスのパートナーシップは、2001年から長きにわたって続いていることをアピール
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Lマウント規格を採用したLUMIX Sシリーズの開発発表がなされた
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LUMIX Sシリーズは、マイクロフォーサーズ機「LUMIX G9 Pro」をひと回り大きくしたかのようなサイズ。直線を基調としたデザインも似ている
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S1シリーズは妥協のないプロ向けのハイパフォーマンスモデル。3軸式のチルト式液晶と、XQD&SDのダブルスロットの存在が目を引く
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S1RとS1は、ボディを共用した兄弟モデル。S1Rが4,700万画素の高精細モデルで、2,400万画素のS1は写真と動画に長けた次世代のハイブリッドモデルという位置づけだ
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パナソニックのLマウントレンズは、50mm F1.4の大口径単焦点レンズと24-105mmの標準ズームレンズ、70-200mmの望遠ズームレンズの3本を発表。50mmレンズはかなり巨大で、描写性能を追求したものであることが感じられた。2本のズームレンズはF値が明かされないままだった
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3社のレンズがこれから増え、相互に使えることを説明。シグマの発表会はこのあとの時間帯に控えていたので、具体的な本数やイメージはこの場では伝えられなかった
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日本国内では2017年から始まっているプロサービスを世界レベルで展開すると発表
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動画撮影のロードマップ。S1/S1Rは4K/60p動画を搭載するが、東京オリンピックが開かれる2020年には8K動画に対応する製品がお目見えする見込み
ここで気になるのは、同社がこれまで展開してきたマイクロフォーサーズ規格のLUMIX Gシリーズ。残念ながら、フルサイズのLUMIX SシリーズはマイクロフォーサーズのLUMIX Gシリーズからの上位互換性を持っておらず、レンズは使い回せません。しかし、パナソニックは今後もマイクロフォーサーズの開発に注力していくことを約束。同規格でなければ難しいF1.7という明るさの広角ズームレンズ「LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm F1.7」の開発を発表しました。