撮影できる動画は、前後のカメラともに満足できる画質でした。特に、前方用カメラは精細で、付近を走るクルマのナンバープレートや道路標識の文字はもちろんのこと、建物の窓枠や周囲の看板、歩行者の表示といった細部もはっきりと撮影できました。前方用のカメラのみ、ダイナミックレンジを広げるWDR機能が働くためか、夜間やトンネル内など暗い場所で撮影した映像もとてもきれいでした。

後方カメラはWDR機能がないものの、F値1.9の明るいレンズを搭載しているためか、こちらも満足いく画質でした。広角レンズにありがちなゆがみは、後方カメラの映像の四隅に若干感じる程度で、それほど気になりません。

  • 前方カメラで撮影した映像から画像を切り出した。日陰で暗くカメラ的には不利な状況だったが、看板の細かい文字や建物の輪郭などもはっきりと写っている

  • 後方カメラで撮影した映像から画像を切り出した。前方カメラの映像と比べるとさすがに見劣りするものの、十分な画質の映像が記録できている。広角カメラにありがちな四隅のゆがみも少ない

  • 前方用カメラはWDR機能があるためか、夜間やトンネルといった暗い場所でもはっきりと写る。画質も上々だ。信号機の色や他車のナンバープレートもはっきりと確認できる

  • 後方カメラにはWDRがないものの、こちらも夜間での撮影は比較的強く、周囲の状況が確認しやすい。後方車両のヘッドライトによって白飛びすることがなかったのは評価できる

実用的で便利な運転支援機能を搭載

いくつかの運転支援機能を搭載しているのも本機の特徴です。カメラの映像からライトの点灯の有無を確認し、周囲が暗い状況で無灯火なら警告音で知らせる「ライト点灯忘れ警告」や、長時間の運転を注意する「ドライバー疲労警告」など、実用的な機能を搭載しています。

特に面白いのが「速度制限標識警告」機能です。映像から道路標識を読み取り、ドライブレコーダーがその道路の制限速度を把握。運転者がその制限速度を超過するとビープ音で知らせてくれるお助け機能です。制限速度が突然変わったり、道路標識を目視しにくいような道でもしっかりと警告してくれるため、うっかり速度違反していたというミスも確実に防げます。

車線を逸脱したときにビープ音を鳴らす「車線逸脱警告」や、前方の車に近づいたときに警告する「前方衝突警告」も備えています。ただし、これらの機能は後方カメラを利用しているときは利用できないのが残念といえます。

前方カメラにはGPSを搭載。GPSから現在位置や速度、方角を取得して映像に記録されるほか、運転中の画面にも情報が表示されるのがユニークです。GPSの位置データは動画に組み込まれており、「CAM ON Player」という無料のビューワーソフトで確認できます。

  • パソコン用のビューワーソフト「CAM ON Player」の画面。前方や後方の映像を同時に再生できるほか、加速度センサーの情報や、GPSから取得した位置や速度なども確認できる

画質や付加機能、使い勝手に優れる佳作

GoSafe S36GS1の価格は税込2万8000円前後で、ドライブレコーダーとしては比較的高価な製品に分類されます。ただ、前後ともに高精細な映像を記録をできることを考慮すると、前方しか撮影できない同価格帯のドライブレコーダーよりもお得感と安心感があります。前後のカメラの映像を前方用カメラで一元管理できるので、2台のドライブレコーダーを前後に装着するよりは使い勝手に優れるのも評価できます。

後方カメラが防水仕様で、設置位置を自由に選べるのもよいと感じました。運転支援機能も実用的で役に立ってくれそうです。前後にドライブレコーダーの取り付けを考えているなら、選択肢に入れるべき製品といえるでしょう。