今年の夏はとにかく暑いですね。東京都内でも40℃を超えるなど(青梅市、観測史上初)、歴史的な猛暑とされています。ここまで暑いと「エアコンはちゃんと効くの?」と、心配になりませんか? エアコンメーカーは、どれくらいの気温を想定して作っているのでしょうか。そんな疑問を解決すべく、パナソニックのエアコン工場を見学してきました!

訪れたのは、1969年に誕生した滋賀県草津市にある工場です。ここではエアコンのほか、エコキュートや食器洗い乾燥機なども製造しています。エアコンとエコキュートは同じエリアで製造し、その広さは約15万平方メートル。東京ドーム4個分の広さです。パナソニックは中国にも製造工場を持っており、中国では中級モデル、草津では高級モデルを作っています。

  • パナソニックのエアコン工場を見学

    工場は琵琶湖に近くに立地。新幹線からも見えます

パナソニックの強みは、エアコンに使われるモーター、熱交換器、板金部品、樹脂部品といった重要パーツを、積極的に内製化していること。内製化には、安定的な供給、品質の管理、完成品に不具合が生じた場合に原因をトレースしやすいというメリットがあります。

ちなみにパナソニックは、ロータリーコンプレッサー、可変バス熱交換器、センサー技術といったコア技術を生かし、家庭用だけでなく業務用の大型空調も手がけています。スカイツリーや東京ドームの空調は、パナソニック製だそうですよ。

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    重要なパーツを自社生産

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    今回の見学は、パナソニックのエアコン「エオリア」、Xシリーズを中心に

エオリアXシリーズの特徴は次の3つです。

1: キレイな空気へのこだわり

冷蔵庫の内部などにも使われている「ナノイーX」、空気の汚れをキレイにする「アクティブクリーンフィルター」を搭載。独自の「ホコリレスコーティング」といった技術も含めて、熱交換器を清潔に保ちます。

2: AIとセンサーによって、温度が異なる2種類の風を送る

エオリアXシリーズは、部屋に差し込む日射の変化、人の感じ方の検知・解析などを行うセンサーを搭載しています。部屋の中で、暑いと感じている人にはしっかり冷風、そうじゃない人にはやさしい風といったように、温度の違う2種類の冷風を送ります。エアコンの熱交換器に可変圧力弁を搭載した、パナソニック独自の「ダブル温度熱交換器」ならではの機能です。

3: 霜取り運転時に冷風が出ない「エネチャージシステム」

これは暖房運転を考えた機能です。一般的に、エアコンの暖房時は室外機についた霜を取り除く「霜取り運転」を行います。霜取り運転中は暖房が止まるため、部屋の中が寒くなります。エネチャージシステムは、この状態を緩和するものです。コンプレッサーの排熱を室外機の中にためて、霜取り運転の熱源として使うことで、室内が寒くならないようにしています。

こうしてみると、エアコンは室内機と室外機の両方に対する研究が必要だとわかります。家の中で使うものが多い家電製品の中で、エアコンは部屋の中で使う室内機と、ベランダなどに置く室外機を持つ特殊な家電です。しかも、エアコンが必要になる場面は、暑いとき・寒いときなので、使用環境はなかなかハード。そのため、品質管理に関わる試験室も過酷です。試験室を見ていきましょう。