ダイキン工業は、幕張メッセで2月27日~3月2日に開催された、冷凍・空調・暖房展「HVAC&R JAPAN(ヒーバック&アール ジャパン)2018」で国内空調事業の方針説明会を行いました。
常務執行役員の船田聡氏は、今回の展示について「昨年までは商品展示がメインで、ユーザーやマーケットごとのソリューション提案ができずにいました。今年はダイキンブースのスペースを拡大し、オールダイキンモール、工場ゾーン、セントラルゾーン、住宅ゾーン、店舗ゾーン、マルチエアコンゾーンの6つのブースに分けて展示し、単に情報発信するだけではなく、さまざまなシーンでの使い方を提案しています」と語りました。
同社は新しい商品を生み出すために、新しい取り込みを始めています。2017年9月には、今までにないデザインで話題となった家庭用ルームエアコン「risora(リソラ)」と、洗面所やキッチンなど小空間に設置できる「ココタス」を発表。リソラは3,000台、ココタスは2,000台の発注があり、好調に推移しています。
しかし、家庭用エアコンはコモディティ化が進んでいるという面もあり、毎年新製品を発表してモデルチェンジをするだけでは、他メーカーと同じようになってしまう懸念があります。
「我々としては、新しい角度、尺度でのものづくりが必要だと思っています。その一環として、2017年秋には社員6,000人にアイデアを募りました。従来は商品企画を担当している社員は決まっていました。それでは狭い範囲で評価尺度が定まってしまいます。
さらに、従来はアイデアが出ても上層部でつぶしてしまうことがあったのですが、そういうことはやめました。売れるかどうかは、やってみないとわからない。思い切ってみんなの意見でおもしろい製品を出してみようじゃないか、ということで、その中から選ばれたプロトタイプも参考出品しています」(船田氏)。
現在、ショールームは東京と大阪のみとなっていますが、将来的にはユーザーと直接コミュニケーションがとれる場所も増していく予定とのこと。
「例えば、プロトタイプを置いてお客さまから生の声を聞く……といったことも進めていきたいと思っています。これからは、一方的に発信するだけではなく、新しい空調文化をつくりたい。よりユーザーに近付いて、意見を吸収し、新たな商品を生み出していきたいです」(船田氏)。製品の開発ペースも従来は1~1.5年掛かっていましたが、プロセスを変えて3カ月ペースにしていく予定とのことです。
面積は前回の1.5倍に! ユニークな製品が並ぶ
HVAC&R JAPAN 2018は、206社の企業が出展。中でも、前回より1.5倍の面積に増やしたというダイキンブースは広く、たくさんの人が足を止めていました。
生産性を向上する次世代オフィスゾーンでは、オフィス向け空調機器のほか、設備を一元管理できるパネルについて紹介されていました。世界のデジタル照明制御システム「DALI」にも対応しており、施設内のさまざまな設備を細かくコントロールできるため、オフィスの生産性向上が期待できます。
直径620mmしかない、ビル用コンパクトマルチフロースクエアカセット。小空間でも4方向に吹き出しを実現し、人を検知します。人が近付くと、近付いた方向のフラップが動いて、風が人に当たらないよう制御してくれます。
ホテルなどで好評な壁用リモコン「直感リモコン」も展示。日本語、英語、中国語、ピクトグラム(絵文字)対応で、「宿泊するお客さまが中国人」とわかっていた場合は、ホテルが事前に中国語を選択しておけば、宿泊者がスムーズに操作できます。
工場などで使用できる床に設置できる「マルチキューブエアコン」。一辺が50センチメートル程度の四角い形状で、床に置いたり天井などからぶらさげたりして使うことができます。1台ごとに温度や風量を変え、働いている人は自分に合った空調で快適に過ごすことができます。人手の確保が難しい工場で、環境改善は重要な課題。床に置く自立型は、実際にトヨタの現場の声を聞いて開発されました。工場では設備の落下が不安だという人が多く、自立型が好まれたそうです。
こちらはマレーシアで好まれるルームエアコン。好きな絵や写真をエアコンに印刷できるサービスを行っています。マレーシアでは結婚式の写真が人気だそうです。
アメリカでは定番、ダクト式の巨大室外機。かなり大きいですが、ガンガン使うアメリカならではの製品です。このように、その国ならではの製品も数多く開発しています。
夜間みまもりエアコンは、人感センサーでエアコンのライトが光り、ピーピーと警告音が鳴ります。新たに配線などを行う必要がなく、エアコンから電気もとれるので好評。こちらは病院やビルで使われています。今後は、このように複数の機能を備えた空調設備を増やしていくとのこと。
アイデアから生まれたプロトタイプを展示
募集したアイデアから選ばれたプロトタイプも展示してありました。エアコンの「risora×aroma」は、アロマの香りを楽しめます。吹き出し口にアロマタブレットを備えており、好みのアロマを垂らして装着することで、風と一緒に香りが出てきます。ほのかな香りを楽しむことができるタイプで、デザイン性も高いrisoraにぴったりです。
なお、発売日は未定ですが、2018~2019¬年に19テーマのプロトタイプを発表するとのことです。