7月29日、幕張メッセで開催された「ワンダーフェスティバル2018[夏]」。プロフェッショナル、アマチュアという立場を問わず、造形物を愛する者たちの祭典として数多くの来場者で大変な賑わいをみせていた。
本稿では、同イベント会場ワコムブース内「デジタル原型ステージ」で行われた「新バージョンでさらに進化! ZBrushCore2018の底力」と題された講演の様子をお届けする。
演台に立ったのは、3Dモデリングツール「ZBrushCore」の開発をしているPixologic社から,公認インストラクターと“ZBrushCoreマスター”の称号を授与された福井信明氏。イベント当日は出展者、ディーラーとしても参加しており、渋谷で個展を開催するなど、デジタル造形の第一線で活躍している。過去に専門学校で講師として活躍していた背景からか、かみ砕いた内容で「ZBrushCore」でできること、デジタル造形習得のポイントなどを講演した。
「粘土でグイグイ」手を動かせば作れる
「『ZBrushCore2018』を立ち上げ、最初に現れた球体をどんな造形にしようか。そのイメージに沿って粘土のようにフォルムを整えていく。たったこれだけ」とは福井氏の言葉だが、“3Dを学ぼう!”と勢い勇むのではなく“粘土でグイグイ”とまずは手を動かしてみることが重要だという。
講演では、つねに「ZBrushCore2018」を操作しながら話していた福井氏。造形しやすくするポイントとして、ポリゴンの量を調整しながら作業を行うことでより自然な仕上がりの造形を作り込んでいくことが可能だという。
ZBrushCore2018新機能であっという間にウサギが完成
福井氏は、「ZBrushCore2018」上でカタチを整えている造形物は、小さな面“ポリゴン”で覆われており「ミカンが入っているネット」のようなメッシュで構成されていると解説。今回2018年7月に提供された「ZBrushCore2018」で追加された、ローポリゴンで作業が行えるようになった新機能を実演した。
同機能では、ハイポリゴンで起こりやすい造形ムラを防ぐことができつつ、ダイナミックでスムーズな初期造形が可能になるとのこと。また、柔らかで綺麗な変形を可能にする「ソフトデフォーマ」機能も実演された。制作時、「ハイポリゴンで細かな作業、ローポリゴンではダイナミックに大きな変更を」と表示を切り替えながら作業を進めると、作品制作が捗るとのこと。
加えて、より作業をしやすくする「レイヤー」機能も実演。キャラクターの耳を新たなレイヤー上で作業し、最終的にひとつの造形物に仕上げていく様子が、来場者から注目されていた。
「難しそうに見えても、じつはカンタンです」と穏やかな表情で語る福井氏。「ZBrushCore2018」の基本である、“粘土を盛る”“カタチを整える”だけでも、存分に頭の中のイメージを具現化していくことができると強調していた。