2018年2月18日に、世界最大級のガレージキットイベント「ワンダーフェスティバル2018[冬]」が千葉県・幕張メッセで開催された。

「ワンダーフェスティバル」(通称:ワンフェス)は、フィギュアなどを含む造形物である「ガレージキット」を製作したものを展示・販売するイベントで、最近では冬と夏に開催されている。アマチュアでも当日版権システムにより既存のキャラクターを題材とした作品が出展可能となっており、企業ブースも会場限定品などを発売している。

  • 幕張メッセで開催された「ワンフェス」のワコムブースは今年も盛況

歴代最大ゴジラの3Dデータを展示

ペンタブレットの老舗、ワコムのブースではデジタル原型を制作するのに欠かせない原型製作向け3Dモデリングツール「ZBrush」(ズィーブラシ)がインストールされた液晶ペンタブレット「Wacom Cintiq Pro」と、OS搭載タイプの液晶ペンタブレット「Wacom MobileStudio Pro」の製品を体験できるコーナーを展開。また、アニメーション映画「GODZILLA」三部作とのコラボレーションも実現し、歴代最大のゴジラ「ゴジラ・アース」の3Dデータをデジタルモデリングで表示することができた。

  • 「Wacom Cintiq Pro」と「Wacom MobileStudio Pro」の体験コーナー

  • 「GODZILLA」に登場した「ゴジラ・アース」の3Dデータ (C)2018 TOHO CO.,LTD.

  • 体験コーナーには「GODZILLA」に登場するゴジラの亜種生物「セルヴァム」の3D出力サンプルも展示。出力したままのサンプル品だが、表面はかなり滑らか (C)2018 TOHO CO.,LTD.

  • セルヴァムを出力したFormLabs社の光造形3Dプリンタ「Form2」。約60万円弱と高価格帯ながら、モデラーなど個人での購入も多く、ユーザーフォーラムが賑わっているという

書籍が充実、ユーザーのすそ野広がる

「ZBrush」の機能簡易版となるが、十分なデジタルモデリング機能を備えた「ZBrushCore」の日本語版の登場に加え、3Dプリンタの低価格化や「ZBrush」関連の書籍の充実化などにより、デジタルモデリングの注目度は年々高まっている。特に今回は「GODZILLA」の3Dデータ展示などもあり、幅広い年齢層の来場者がワコムブースに立ち寄り、FormLabs社の光造形3Dプリンタ「Form2」で出力された「セルヴァム」のサンプルフィギュアを眺めたり、体験コーナーで「ゴジラ・アース」のデジタルデータをZBrush上で表示し、造形の詳細を確認したりして楽しんでいた。

  • 「ZBrushCore」の関連書籍コーナー。ブース担当者によるとこの2年ほどで関連書籍の拡充が進み、ユーザーに3D造形が受け入れられやすくなったという。ユーザーの用途は多伎にわたり、ワンフェスに見られるフィギュア出力だけでなく、指輪やブレスレットなど金属アクセサリーの造形などにも使われるそうだ

  • 本イベントではすっかりお馴染みの美環氏や福井信明氏によるステージも開催

さらに、ブース周辺ではデジタル3D制作に関するセミナーを開催。今回はデジタル原型師見習い・美環(みかん)氏のステージや、「ZBrushCore」インストラクター・福井信明氏による「ZBrushCore」解説演説といったステージに加え、"海洋堂センム"宮脇修一氏を人体スキャンしてデータ化するパフォーマンスや、「ZBrush4R8」の入門書籍を手がけたウチヤマリュウタ氏によるステージなども開かれ、ほぼすべてのステージの席が埋まる大盛況ぶりだった。