では、買い取ってしまったニセモノはどうなるのか。実は真っ先に破棄ということではなく、研究材料として生かされるそうだ。鑑定をする店舗のスタッフは相当に知識はあるが、真贋を見誤ることがある。それを少しでもなくすために、こうしたニセモノが活用される。いいかえると、ニセモノだからまったくの無価値という考えではないのだ。
ただ、店舗の鑑定でニセモノとわかった際には買い取らない。実はここに大きな憂慮がある。悪意を持ってニセモノを持ち込む客は論外だが、多くの方が「これはホンモノ」と信じ切って売りにくる。それをにべもなく「これはニセモノです」とはハッキリとは言いづらい。「これはお引き取りできません」というニュアンスでお断りするのだそうだ。
確かな“目”で鑑定をするコメ兵 新宿店の山口秀平氏。筆者も手持ちの時計や万年筆を査定してもらった。結構マニアックなコレクションのつもりだったが、一発でメーカーや商品名を当てられ少しくやしい。まあ、当然といえば当然か……(笑)
と、このように店頭での売買は確立しているコメ兵だが、ネット通販も充実している。同社が目指しているのは、実店舗とネット通販によるオムニチャネルだ。藤原氏によると、リセール製品だからこそ、ネットでの販売が生かされるという。
どういうことかというと、持ち込まれた商品は東京、名古屋、大阪など、場所を選ばない。大阪のコメ兵に持ち込まれた商品を、東京の顧客が購入する場合、ネットでの取引が役立つ。一方、実店舗があるというのもネット販売の価値を高める。スマホやPCの画面で商品画像を確認し、実店舗で状態を確認できる。特に、高級腕時計といった場合、ネットの画面だけで購入を決断するのは不安だ。実店舗でチェックできるのに越したことはない。
さて、今後リユース市場はどうなるのか。藤原氏は、現在は鈍化し始めているが伸びていく可能性が高いと話す。それは、リユースの対象が多岐にわたり始めているからだそうだ。数十年前、リユースは土地や家、クルマといった高価値なものが主流だったが、今はどんなものにも値がつきやすい。そう考えると、リユース市場拡大の可能性は、まだまだ広がる可能性が高い。