今回、この防犯自動販売機の取り組みを始めるのは、東京都足立区の警視庁西新井警察署(以下、西新井署)管内。まずは30台の自販機を導入し、効果検証を行う。

なぜ西新井署なのかというと、この地域は都内でも犯罪がもっとも多く発生するところのひとつだからだ。西新井署は、防犯のためにとにかく大きな声を上げていたらしい。その声にキリンが応えたカタチだ。

  • 左:西新井警察署管内が検証地域。右:みまもり自動販売機への期待を語る西新井警察署長 福山隆夫氏。防犯カメラのほか、自販機の明かりも心強いと話す

防犯カメラ内蔵自販機は「みまもり自動販売機」と名付けられた。子どもたちを見守るため、通学路や公園といった場所に重点的に設置される。キリンによると、開発には西新井署の助言を受け、画質や記録時間、映像提供までの速度などを決めたという。

映像確認は西新井署のみ可能

なお、映像提供に無線機器は使用しない。無線だと第三者に映像がわたる可能性があり、プライベート保護の面で危険があるからだ。映像は、すべてマイクロSDカードに記録される。それを定期的に抜き取り、西新井署にわたされる。ちなみに、このマイクロSDカードはキリンの職員は一切アクセスできない。西新井署にあるこのシステム用の3台のパソコンでのみ、データを閲覧できる。つまり、個人情報の流出の可能性はきわめて少ない。

キリンは以前からCSV活動に積極的だ。社会と企業の共通価値創造を軸にした活動が目立つ。もちろん、キリンにはねらいもある。こうしたCSVを展開することで、総合飲料メーカーとしての存在感を高め、結果的に商品購入に結びつけたいということだろう。

企業であるので、利益追求は当然のことだと思う。ただ原資を投入して社会貢献をするCSRではなく、何かしらの利益(売上だけではなく、社会利益を含める)を生み出すCSVに軸足を置いているのだ。