格安SIMサービス「LINEモバイル」で2日から、ドコモとソフトバンクの両回線が選べるようになりました。都内で開催された記者説明会では、MVNO業界に”革新”を起こす3つの宣言を発表。月300円で始められるキャンペーンなどが実施される見込みです。
マルチキャリアはMVNOの強み
これまでドコモのネットワークを借りてサービスを展開していた同社ですが、新たにソフトバンク回線も追加し、同じ料金プランで展開します。例えば、音声通話付きSIMの「LINEフリープラン」(1GB)は1,200円~、「コミュニケーションフリープラン」の3GBなら1,690円~、「MUSIC+プラン」の3GBなら2,390円~(全て税別)。8月末までは回線変更手数料が無料とあって、いまSIMフリー端末でLINEモバイルを利用しているユーザーなら、ソフトバンク回線の品質を気軽に試すことができそうです。
登壇したLINEモバイル代表取締役社長の嘉戸彩乃氏は「マルチキャリアはMVNOだからこそ実現できるサービス。シンプルで分かりやすさを大事にするため、同一の料金プランで展開します。いまお使いのスマートフォン、生活環境のネットワーク状況に応じて回線を切り替えてもらえれば」と説明していました。
同社では、この「マルチキャリア」と、「格安スマホ最速チャレンジ」「スマホそのまま」を加えた3つの宣言をアピールします。、「格安スマホ最速チャレンジ」「スマホそのまま」はそれぞれ、どんな内容なのでしょうか?
格安スマホ最速チャレンジ
格安SIMサービスを利用したことのないユーザーからは、まだ「電波がつながりにくそう」「通信速度が遅そう」といったネガティブなイメージを抱かれている、と嘉戸社長。そこで同社では「格安スマホ最速チャレンジ」として、通信速度が規定を下回ったときにデータ容量がプレゼントされるキャンペーンを展開します。ソフトバンク回線の通信速度を定点観測して、月に1度でも測定結果が1Mbpsを下回れば、ソフトバンク回線ユーザー全員に1GBのデータ容量が付与されるとのこと。詳細はWeb上で7月中に発表される予定です。
スマホそのまま
大手キャリアであれば、街なかのショップで製品を手に取る、サービスを説明してもらう、といったことが可能ですが、オンライン販売がメインの格安SIMサービスでは、なかなかそうはいきません。そこでLINEモバイルでは、消費者に身近なサービスを目指すため、オンライン / オフラインの両方に顧客接点を増やしていく方針です。嘉戸社長は「LINEモバイルの即日開通が可能なショップ数を、今夏には全国100店舗にまで伸ばしていきます」と説明。いま使っているスマホはそのままにサービスだけを乗り換えられる、というMVNOならではのメリットを『スマホそのまま』というキーワードで訴求していきます。
カウントフリーはどうなる?
LINEモバイルでは加えて、利用者を拡大すべく、2つのキャンペーンを実施します。
「スマホ代 月300円キャンペーン」は、ドコモ / ソフトバンク回線の音声通話SIMプランを8月末までに契約したユーザーを対象に、6カ月間、月額基本料金から900円を割り引くという内容。例えばLINEフリープラン(1GB)なら、月300円(1,200円の900円引き)で利用を開始できます。
ところでLINEモバイルと言えば、主要SNSや音楽サービスLINE MUSICの利用時に消費するパケットがフリーになる「カウントフリー」サービスが支持を集めてきました。このサービスはどうなるのでしょうか?
まず名称については、2日より「データフリー」に改称されました。そしてドコモ回線では引き続き同サービスを利用できるものの、ソフトバンク回線では、サービス開始当初は利用できない(今秋に対応予定)とのこと。この代わりとして、ソフトバンク回線ユーザーを対象に「データ容量2倍キャンペーン」が実施されます(期間は8月末まで)。契約プランを問わず、データ容量が2倍になるという内容でした。
回線の選び方は?
利用者はドコモ回線、ソフトバンク回線、どちらを選べば良いのでしょうか?こんな質問に対して、嘉戸社長は「ドコモのネットワークになじみがある、あるいはドコモの端末をそのまま使いたい人は、そのままドコモ回線をお使いいただける。逆もしかりです。スマホのSIMロックを解除せずに使えるのが魅力です。通信速度に関しては、ソフトバンク回線の方で最速チャレンジを行います。MVNOに速さを求められる方に選んでいただければ」と回答しました。
大手キャリアで提供が開始された「+メッセージ」サービスの対応について聞かれた嘉戸社長は「お客さんのニーズありきで対応していければ」と説明。このほか経営状況について、決算で赤字だった、今後はMNOに借りるネットワークの帯域も増やさなければいけない、などと指摘されると「通信業界では、サービスの開始当初に一番お金がかかる。ある意味、当然のことで、私の中ではまだ赤を掘りたいくらいです」と強気な姿勢を見せる一幕もありました。