具体的な行動変容へ向けては、生産性の最大化や質の向上に向けて「分析に基づく営業活動」、「業務ノウハウの可視化」といった取り組みが行われた。これによって実現したのが、営業と営業事務という職業区分をなくした「全員営業」による営業力の極大化だ。

  • 行動変容

アフラック生命保険は、各都道府県に支社を設置している。実際に顧客に営業活動を行うのは代理店であるため、支社の営業担当者は代理店を対象に販売支援等を行うのが主な業務だ。そして、外回り営業を行う社員と、主に内勤でそのサポートを行う営業事務に役割が分かれていたという。

「特に性別で区別しているわけではありませんでしたが、男性が営業、女性が営業事務という旧来の考え方を完全撤廃しました。まず支社の力を最大化するために、人員を営業と営業事務とに二分せず、女性社員を営業として再配置しました。属人的になりやすい営業の業務を見える化し、営業経験がない内勤の女性も営業ができるようにしました」と岡本氏。

従来営業事務が担っていた顧客との電話対応や資料作成といった業務は、チーム営業の中で必要に応じて全員が取り組むことになった。

柔軟な働き方と移動時間削減を実現するテレワーク&サテライトオフィスの導入

また、シフト勤務のパターンについて、出勤時間を7時から13時の間で変更できる形で拡大。全社員を対象にフレックス勤務や時間単位有給休暇を認めた他、テレワークによる在宅勤務についても週内の回数などに制限を設けず1時間ごとに可能とした。

「テレワークは導入当初、食わず嫌いのような声もありました。うちの部の仕事はテレワークではできない、というようなコメントもあったのですが、何が出来ないのかを確認するために、まずはやってみて考えましょうということで管理職から使ってもらったところ、思ったほどテレワークでできない仕事というのはなかったのです。そこから全社員に1度は試してもらうことにしました」と岡本氏。

また、首都圏を中心に数カ所のサテライトオフィスを設置し、いつでも利用可能としている。シンクライアント端末を利用した在宅勤務とともに、移動時間の削減や柔軟な働き方を実現する仕組みを取り入れた。

「支社で勤務する人の中には、オフィスと自宅が非常に近いという方もいて、在宅勤務は必要ないのではないかと言われたりしました。しかし、そういう方でも実際に在宅勤務をやってもらうと、仕事に集中できるといった理由から効率的な働き方に繋がったという声もありました。サテライトオフィスについては単身赴任の社員が週末を利用して家族のもとへ帰る際、金曜日や月曜日を自宅に近いサテライトオフィスで過ごすことで家族と過ごす日を一泊増やせるという喜びの声もあります」と岡本氏が語るように、実際に使ってみると考えていたよりも利便性の高さが感じられたり、想定していなかった使い方が生み出されたりすることが多かったようだ。

テレワーク導入にあたって、よく問題となるのが勤怠管理や評価だ。しかしアフラック生命保険では、そこに大きな課題は感じていないという。

「オフィスで勤務しているからといって、上司が働きぶりをじっと見張っているわけではありません。それをテレワークだからといって毎時レポートを出させるようなことをするのはおかしいと考えました。シンクライアント端末の利用状況は記録されるので、それで勤怠管理を行いつつ、評価はアウトプットで行います。真っ先に管理職に体験してもらったことで、アウトプットで評価すべきだということは納得しやすかったと思います」と岡本氏は語る。

すでに前段階として時間を意識した働き方などの意識醸成を行っていたからか、不自然な残業記録などの問題も出ていないようだ。