VMware APJ 副社長兼最高技術責任者(CTO)を務めるブルース・デイヴィー氏

ヴイエムウェアは6月13日、通信事業者向けの5Gに対応したネットワーク機能仮想化(NFV)プラットフォーム「VMware vCloud NFV-OpenStack Edition 3.0」を発表した。

VMware APJ 副社長兼最高技術責任者(CTO)を務めるブルース・デイヴィー氏は、「通信事業者を取り巻くビジネスモデル、ネットワークとクラウド、コネクテッド・エコシステムに変革が起こっている。『柔軟性に乏しい』『閉鎖的』『高コスト』『複雑』な現在のネットワークアーキテクチャでは、高い市場競争力を維持できない」と、通信事業者にとって新たなネットワークアーキテクチャが不可欠となっている背景を説明した。

ネットワークに変革とモダナイゼーションをもたらすのが、「VMware vCloud NFV」というわけだ。同製品には、コンピューティング、ストレージ、ネットワーク、管理、運用機能が搭載されているが、ハードウェアを仮想化して共通の基盤とすることで、複数のVNFの統合管理を実現する。

製品から見ると、VMware vCloud NFV 3.0には、サーバ仮想化製品「VMware vSphere 6.7」、同社がサポートするOpenStackディストリビューション「VMware Integrated OpenStack 5.0」、ログ管理製品「VMware vRealize Log Insight 4.6」、運用管理製品「VMware vRealize Operations 6.7」、ストレージ仮想化製品「VMware vSAN 6.7」が含まれている。

  • 「VMware vCloud NFV」の構成

  • VMwareのNFV領域へのアプローチ

デイヴィー氏は、VMware vCloud NFV 3.0の特徴として「ネットワーク・パフォーマンスの向上」「キャリア グレードのネットワーク」「顧客が意図する状態を維持するサービス保証」「オープンスタンダードのサポート強化」を挙げた。

ネットワーク・パフォーマンスの向上

今回、データプレーン開発キット(DPDK)ベースの手法が追加されたことで、データ プレーンネットワークのパフォーマンスが向上した。DPDKベースのネットワークにより、ネットワークインフラ全体のコストに加え、電力、冷却、ラック設置面積に関するコストを低減するという。

NTTコミュニケーションズ、Teliaなどのユーザー企業が新たなNSX 分散仮想スイッチ(N-VDS)のEnhanced Data Pathモードによるベータ版テストを実施した結果、パケットサイズに応じてネットワークのパフォーマンスが3~5倍向上したという。

キャリア グレードのネットワーク

今回、VMware NSX-T Data Centerと連携したことで、キャリア向けネットワークの新機能を提供するとともに、ヴイエムウェアのネットワークの新ビジョン「Virtual Cloud Network」を通信サービスプロバイダーにも拡大する。

具体的には、マイクロセグメンテーションによるネットワークのスライス機能により、サービスレベルやQoSが異なるマルチテナントに対応することが可能になる。また、コンテナネットワークインターフェイスをネイティブでサポートしているため、コンテナネットワークに対し、マイクロセグメンテーション、マルチテナント、リソースの分離、QoSの割り当てを実現する。加えて、データセンター、パブリッククラウド、通信事業者の提供するクラウドにまたがる異種混在環境の運用管理と可視化が可能になる。

顧客が意図する状態を維持するサービス保証

キャパシティ プランニング、予測、再利用といった新機能により、リソースの再利用を自動化する。また、リアルタイムでインテリジェンスを活用した問題の予測と回避、SLA違反やパフォーマンスの低下・異常などに基づくアラートが可能になった。ビジネスや運用の目的に基づき、パフォーマンスとキャパシティを継続的に最適化することもできるようになった。

オープンスタンダードのサポート強化

今回追加されたVMware Integrated OpenStack 5-Carrier Editionは、2018年2月にOpenStack Foundationが発行した相互運用性ガイドラインに準拠している。また、同社はOpen Network Automation Platform(ONAP)のプラチナメンバー兼創設メンバーであり、VMware vCloud NFV-OpenStackはONAPのBeijing版にも完全に準拠しているほか、Open Source MANO(OSM)リリース4との統合もサポートしている。