iMac G3の後継モデルとして登場したiMac G4以降は、ディスプレイがCRTから液晶に切り替えられ、本体を圧倒的に薄くすることができた。デザインの表現手法は2種類が存在したが、いずれも『薄いディスプレイを宙に浮かせる』というコンセプトが貫かれている。

現在のiMacを見てみると、中央部にやや膨らみを持つ板の中に、ディスプレイをはじめとするあらゆるコンポーネントを収納。これ以上どうこうできないシンプルさを極めたデザインに落ち着いている。これ以上薄くしたり、前述のように宙にディスプレイを浮かせるコンセプトを表現する方法もなくなってしまったのではないか、と思えるほどだ。

  • 現在のiMac。写真は、標準モデルのiMacと同じボディを採用するiMac Pro

  • 緩やかなカーブを描くディスプレイ部にすべてのコンポーネントを詰め込んだデザインは美しい

ここに至るまでの経緯は、現在のスタイルを採用したiMac G5にさかのぼる。当初はポリカーボネイトのきょう体にディスプレイが埋め込まれており、スタイルは現在のものと大きく変わらない。Intel製プロセッサへの移行と前後してきょう体がアルミニウム素材に変更され、背面のプラスティックがなくなりアルミのユニボディへと進化し、薄型化、画面の大型化が進行した。

  • ポリカーボネイトの白いボディを採用したiMac G5

iMac G5の広告コピーに「From the creator of iPod」が採用され、ドックスタンドに立てかけたiPodと新型iMac G5を並べた写真が用いられた。2004年8月の当時、iPodがAppleをけん引する製品となっていたことから、iPodのようなミニマルで白いコンピュータとして登場したこの製品は、マーケティングとしても優れていたといえる。

実際、iMacがアルミニウムとガラスのみのボディへと進化しているが、現在主力製品となっているiPhoneも、ガラスとアルミのボディで構成されていた。iPhone 8では背面をガラスに転換し、iPhone Xではフレームをアルミからステンレススチールに変更している。20周年を記念するiMacがそのどちらかを採用しても、さほど驚きはないのかもしれない。

ちなみに、iMac G4のことを忘れてはならない。個人的に最も面白いと思ったiMacだったからだ。このモデルはiMac G4 (Flat Panel)と呼ばれ、初めて液晶ディスプレイを採用したiMacとして2001年に登場している。日本では『大福』といわれる白い半球状の本体からクロームメッキが施されたピカピカで骨太のフレームが伸び、その先に薄い液晶ディスプレイが1枚備え付けてあるデザインだ。

  • 短命だったが、独創的なデザインが話題を呼んだiMac G4

現在のiMacはディスプレイの角度調節をする際、上下は稼動するが前後に動かすことはできない。しかし、このiMac G4は手前にぐぐっとディスプレイを近づけたり、フレームが垂直に立つまで後ろに下げたりすることができた。20インチモデルが最大サイズだったこのiMacは、作業の際、あるいは映像などを視聴する際と、ディスプレイの距離でコンピュータを使う姿勢を変えられるユニークな存在だったと言える。