]short=業務用タフブックの小型化の理由
5月29日、パナソニックが業務用ハンドヘルド端末「FZ-T1」を発表した。倉庫や店舗において、バーコードを読み取る用途を想定した製品になる。
これまでパナソニックは、過酷な現場にも耐える頑丈なデバイスとして「TOUGHBOOK(タフブック)」シリーズを展開してきた。だが今回のモデルはスマホに近い、小型軽量なデザインに振ってきた。どのような背景があるのだろうか。
新モデルでは頑丈さと小型軽量を両立
TOUGHBOOKシリーズは、ノートPCやタブレット、ハンドヘルド端末といった製品を展開している。世界の物流や公共分野で活躍しており、米国の警察に採用されるなど高い評価を得てきたという。
その中でも、片手で持てるハンドヘルド端末の「FZ-N1」や「FZ-X1」は、音声通話にも対応した、スマホに近い位置付けのモデルだ。だがその外装は、一般的なスマホと比べてはるかに頑丈にできている。
これらのモデルは屋外の過酷な現場を想定していたが、倉庫や店舗など屋内作業の現場からはポケットにも入る小型軽量モデルを求める声も多かったという。そこで新製品の「FZ-T1」では、FZ-N1よりも一回り小さくなっている。
頑丈さをほどほどに抑えたとはいえ、一般のスマホに比べれば耐久性ははるかに高い。業務用端末は手荒な扱いを受けることが多いことから、パナソニックは「コンクリートへの150cmからの落下試験」を実施。これは米軍のMIL規格(合板へ120cmから落下)を上回る独自基準だという。
現場で意外と重宝されるのが、いかにも業務用端末という外観だ。日本では、作業員がスマホを操作していると一般客から「サボっている」ように見える問題があった。だが、TOUGHBOOKシリーズのように無骨な外観なら、普通のスマホでないことは一目瞭然というわけだ。
法人向けサービスも揃っている。多数の端末にWi-Fiの設定をするなど、手間のかかる作業はキッティングサービスにより代行。販売期間も、一般のスマホでは1〜2年で終了してしまうが、TOUGHBOOKは長期的に継続するという。
端末の長期運用で問題になるバッテリーの劣化に備えて、バッテリー交換にも対応する。しかも短時間であれば電源をオンにしたまま交換できるという。まさに国内の現場を知り尽くしたパナソニックならではの機能といえる。