説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『「AirPlay 2」で何が変わったの?』という質問に答えます。
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AirPlay(エアプレイ)は、Wi-Fiを利用する音声と映像のストリーミング規格です。登場当初は「AirTunes」という名称で音声のみを対象としていましたが、のちに映像も扱うことが可能になり現在の「AirPlay」に改名されました。iOS 11の現在では、オーディオ/ビデオ再生のほか、iPhoneの画面をApple TVへリアルタイムに出力する機能(AirPlayミラーリング)にも活用されています。
iOS 11.4でサポートされた「AirPlay 2」は、そのAirPlayのオーディオ部分を拡張した規格です。iPhoneから複数のAirPlay 2対応デバイス(スピーカーなどのAV機器)へ音楽を同時に送信する「マルチストリーミング」に対応したことが、大きな改良点です。AirPlay 2に対応したオーディオ機器であれば、同じ曲を複数台で同時再生することも、複数台でそれぞれ異なる曲を再生することも可能になります(マルチルーム再生)。
ストリーミング再生がよりスムーズになったことも改良点のひとつです。再生する楽曲データをある程度先読みして蓄えておく(バッファリング)機能が強化され、再生指示から実際に音が出るまでの時間が短縮され、音途切れの発生も減少しました。
AirPlay 2はAirPlayとの後方互換性が維持されており、サンプリングレート(アナログ信号をデジタル信号に変換する処理の1秒間あたりの回数)は最大44.1kHzまたは48kHz、量子化ビット数(データを何段階で表現するか示す値)は16ビットになっています。サンプリングレート48kHz以上、量子化ビット数24ビット以上が必要とされるハイレゾ音源の再生には対応していません。
つまり、AirPlay 2は再生品質面で特に変更はないけれど、マルチルーム再生や音途切れ防止といったユーザエクスペリエンスの向上に重きを置いたアップデートといえます。対応製品の登場はこれからですが、次第に増えてくることでしょう。