2018年5月16日に行われたFCCLの「Day1」の会見で、齋藤社長は、Infini-Brainの製品化時期について、「Day1000までには...」と表現した。逆算すると、3年後という意味であり、2020年のタイミングになる。だが、取材を進めると、Day1000の意味は、発売のタイミングではなく、成果を出すタイミングであることがわかってきた。

先に触れたように、FCCLは2020年までに、新たなビジネスを軌道に乗せる必要がある。そこから逆算すれば、2019年度には、Infini-Brainをすでに出荷していなくてはならない。いや、ソリューション型ビジネスを目指すのであれば、2018年度中の出荷でも遅いぐらいだ。

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FCCLは2018年4月から、Computing for Tomorrowを、事業化を目指す「CFT(Computing for Tomorrow) 2020」へと進化させた。つまり、ここでは、Infini-Brainの事業化がメインの取り組みとなる。そして、CFT 2020では、外部企業との連携を強化することも重点テーマに掲げている。Infini-Brainについても、外部企業との連携を重視しながら、事業を拡大していくことになる。

5月16日のDay1の会見でデモストレーションを行ったInfini-Brainは、デザイン先行型のモックアップのように見えるが、実は、実際に動作するものを壇上にあげていた。それは、仁川執行役員がこだわった部分だ。そのInfini-Brainを使って、その場で撮影した画像を、リアルタイムで分析をする様子を表示してみせたのだ。

Infini-Brainは、まだ改良の余地はあるというが、早期の製品化に向けて着実に進展していることは明らかだ。「動作する機器によるデモストレーション」、「CFT 2020のスタート」、「外部企業との連携強化」という流れは、「2020年以降におけるFCCLの独立性の維持」につながるシナリオというわけだ。

もちろん、Infini-Brainだけが新規ビジネス創出の取り組みではない。

竹田副社長兼COOは、「教育向けエッジコンピュータのMIB(Men in Box)や、電子ペーパーを採用したタブレットなど、2020年に向けて、10個近いプロジェクトを推進している」とする。想定されるそれぞれの事業規模は小さいが、10億円×10プロジェクトというところからスタートすることも考えているという。

2020年に、新たなビジネスを軌道に乗せることができるか――。FCCLにとって最大のチャレンジがそこにある。

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    電子ペーパーを採用したタブレット

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    教育向けエッジコンピュータのMIB(Men in Box)