日本マイクロソフトは5月28日に記者向けの発表会を開催し、金融機関向けのデジタルトランスフォーメーション変革特別支援施策を2018年6月から実施すると発表した。

デジタルトランスフォーメーション変革特別支援施策とは、「技術的側面」と「組織的側面」の両面から、既存ITシステム領域のモダナイゼーションを推進するというサービス。技術的側面では、システムをAzure環境への移行をサポートし、組織的側面では、プロセスやルール、人材育成など、組織近代化への移行を支援していく。

今回は、9月末までの限定オファリングとして、金融機関向けに導入部分である「クラウド移行診断」「近代化ギャップ診断」を無償で提供する。サービスはFIXERまたはMicrosoft Enterprise ServiceSより提供されるという。

  • ソリューションの概要

    ソリューションの概要

日本マイクロソフト株式会社 エンタープライズ事業本部金融サービス営業統括本部 業務執行役員 統括本部長の綱田和功氏は「金融機関の変革プロセスは、既存のITシステムをモダナイゼーションする『モード1』、AIやビッグデータを活用して新規ビジネス領域を開拓する『モード2』に分けられる。2つのモードを並行して進めることもできるが、既存ITシステム領域をモダナイゼーションしていかなければ、デジタルトランスフォーメーションが進みにくい。しかし、既存資産や既存ビジネスを無視することはできないので、モード1でつまずく企業が多いのではないだろうか」と金融機関のデジタルトランスフォーメーションの現状を分析する。

  • 日本マイクロソフト株式会社 エンタープライズ事業本部金融サービス営業統括本部 業務執行役員 統括本部長の綱田和功氏

    日本マイクロソフト株式会社 エンタープライズ事業本部金融サービス営業統括本部 業務執行役員 統括本部長の綱田和功氏

  • マイクロソフトが考える変革プロセス

    マイクロソフトが考える変革プロセス

  • ITモダナイゼーションの阻害要因

    ITモダナイゼーションの阻害要因

なお、発表会では、マイクロソフトのサービスを活用してデジタルトランスフォーメーションを進めている、三井住友銀行(SMBC) システム統括部 部長の高橋健二氏と、住友生命保険 情報システム部 担当部長 兼 代理店事業部 担当部長の岸和良氏が登壇した。

高橋氏は「Azure上のCNTKを用いたチャットボットエンジンを独自で開発して、気軽なコミュニケーションを達成。効率的に仕事ができるようになった」と効果を語る。

  • 三井住友銀行 システム統括部 部長の高橋健二氏

    三井住友銀行 システム統括部 部長の高橋健二氏

また、岸氏は「我々は健康増進型保険に必要な、健康維持活動を記録するVitalityシステムをAzure上で構築。センシティブな情報が多い保険会社にとって、体の状態などを記したセキュリティオプションが搭載されていたのがよかった」とAzureを採用した理由を述べた。

  • 住友生命保険 情報システム部 担当部長 兼 代理店事業部 担当部長の岸和良氏

    住友生命保険 情報システム部 担当部長 兼 代理店事業部 担当部長の岸和良氏