ただ、東京電力1社だけの研究・開発ではない。ポケット・クエリーズという企業との共同研究となる。

東京電力はいわずと知れたエネルギー企業の巨人。一方、ポケット・クエリーズは「ゲームのちから」や「ファイナルファンタジー」の拡張パックを手がける。ただ、それだけでなく、VRを活用した災害統合システムや、英会話をVRで学習できるアプリなどを手がけている。

そして今回、東京電力と共同研究を行っているのが、MRソリューション「QuantuMR」(クアンタムアール)だ。

  • QuantuMR。第一線現場で使うため、ヘルメットと組み合わせてある。デモを行うポケット・クエリーズ 代表取締役 佐々木宣彦氏

これはどういうものかというと、第一線現場の支援・高度化に向けたソリューション。第一線現場というとわかりにくいが、“製造現場の最前線”といえば伝わりやすい。つまり工場といった設備監視システムやマニュアル、ノウハウといったことが含まれる。QuantuMRは、こうした設備の点検・異常予兆を判断する際のサポートになる。

五感をフル活用する作業をサポート

具体的にいうと、ヘッドマウントディスプレイ上にマニュアルや仕様書を映しだし、作業員がそれを確認しながら点検ができるようになる。ヘッドマウントディスプレイなので両手が使えるというのがポイントだ。さらに点検時は、機械だけに頼るだけではなく、視覚や聴覚、触覚といった人間の持つ五感も必要になってくる。両手でチェックできるほか、自分の視覚が妨げられるわけではないので、そうした五感を駆使できる。

  • プロジェクターに映されたデモ画面。現実のテーブルとパネルが混在している。右はQuantuMRのホームページに掲載されている動画から。プラントとその情報を映すパネルからなっている