シャープは5月8日、Androidスマートフォン「AQUOS」の2018年夏モデルとして、動画・静止画にそれぞれ最適化した2つのアウトカメラを搭載したフラッグシップモデル「AQUOS R2」と、シリーズ初のSIMフリー専用端末となるスタンダードモデル「AQUOS sense plus」を発表しました。

  • Androidスマートフォン「AQUOS」

    美人なお姉さんが正面から見て左側に持っているのがAQUOS sense plus、右側に持っているのがAQUOS R2

  • Androidスマートフォン「AQUOS」

    ツインカメラ搭載のフラッグシップモデル「AQUOS R2」。カラーは5色展開

  • Androidスマートフォン「AQUOS」

    スタンダードモデル「AQUOS sense plus」。SIMフリー専用モデルとなる

2つのアウトカメラ搭載で動画・静止画に最適化

シャープは2017年、スマートフォンのブランドとしてハイエンドの「AQUOS R」とスタンダードの「AQUOS sense」という2つのシリーズを投入し、ブランドを再編。スマートフォン「AQUOS」ブランドの認知度向上につながり、2018年3月末時点で両シリーズとも出荷台数100万台を突破しました。また、2017年におけるAndroid端末の販売数でNo.1を獲得しています(2017年BCNランキング/Android搭載スマートフォンメーカー別国内販売台数シェア)。2年連続のNo.1を目標に、2018年5月8日に発表されたのがフラッグシップモデルの第2弾となるAQUOS R2です。

最大の特徴は、アウトカメラとして動画専用・静止画専用に2つのカメラを搭載していること。SNSや動画投稿サービスを中心に、ビジュアルコミュニケーションの可能性が広がりを見せている昨今。しかしいざ動画を撮影すると、思い通りの映像が撮れないこともあります。これについてシャープでは「動画と静止画で、適したカメラはハードウェアから根本的に違う」と考え、それぞれに最適化させたカメラを開発しました。

  • Androidスマートフォン「AQUOS」

    背面には2つのカメラが縦に並ぶ。上が動画用、下が静止画用となっている

  • Androidスマートフォン「AQUOS」

    動画用カメラは19mmの超広角レンズ(35mmフィルム換算)視野角約135度を収め、周囲の雰囲気も取り込む

静止画で最も重要なのは、被写体をくっきりと捉える精細感。対して動画は映像に入り込めるような臨場感が重視されるという考えから、静止画カメラは22mmの広角、動画カメラは19mmの超広角を採用しています。手ぶれ補正として、写真撮影でシャッターを押した際に発生するわずかなぶれには光学補正、動画で撮影者が被写体を追いかける際に起きる「パンぶれ」には電子補正機能を利用。さらに、静止画では高速オートフォーカス+背景のボケを得られる浅い被写界深度、動画では手前から奥までくっきり映る深い被写界深度に設計された、といった違いもあります。

  • Androidスマートフォン「AQUOS」

    動画用、静止画用それぞれにハードウェアから特性の異なるカメラで、最適な撮影を実現する

動画撮影中でも、静止画用カメラを利用して写真を撮影することが可能。さらに、撮影者がシャッターボタンを押すことなく、AIが最適なタイミングを検知して自動的に静止画を撮影する「AIライブシャッター」を搭載しています。動画と静止画をセットで撮影し、それらをシームレスに楽しむことができる「ストーリー再生」や、AIライブシャッターで自動撮影した瞬間の前後数秒をショートムービーに切り出し、SNSにシェアできる「あとからキャプチャー」など、撮影した動画の活用方法まで考慮しました。

  • 動画撮影中にAIが自動的にシャッターチャンスを判断し静止画を撮影する「AIライブシャッター」のデモ

  • Androidスマートフォン「AQUOS」

    静止画用カメラでは、人、ペット、料理、花火など9種類の被写体をAIが検知し、最適なセッティングで撮影する「AIオート」機能も用意

モバイルデバイスとして世界初のドルビー対応

液晶ディスプレイも進化しました。6.0インチWQHD+(3,040×1,440)のハイスピードIGZO液晶ディスプレイを搭載しています。

このほか大きな特徴は、モバイルデバイスとして世界で初めて(シャープ調べ)Dolby Vision とDolby Atmosに両対応していること。Dolby Visionは映像の輝度や明暗差、色域表現を広げ、より色彩豊かな映像を楽しめる映像高画質化技術。2018年5月現在、一部の映画館やごく限られた家庭用テレビ等で採用されています。Dolby Atmosは自然の立体的な音響を表現する技術です。コンテンツ面ではシャープの「COCORO VIDEO」やNTTぷららの「ひかりTV」が、Dolby Vision・Dolby Atmos対応の映像配信を行っています。AQUOS Rではさらに、ドルビーの次世代オーディオコーデック「Dolby AC-4」にも対応しました。

  • Androidスマートフォン「AQUOS」

    左が「Dolby Vision」の映像、右がSDRの映像。本体の輝度設定が同じでも、Dolby Vision対応コンテンツでは明暗差や色域表現が広くなるため、明るい場面はより明るく表示される

  • Androidスマートフォン「AQUOS」

    モバイルデバイスでDolby VisionとDolby Atmosに両対応するのは世界初

  • Androidスマートフォン「AQUOS」

    自由に形を変えることができるフリーフォームIGZOディスプレイにより、本体は前モデル「AQUOS R」とほぼ同じサイズながら、ディスプレイサイズは13%アップ、解像度も18%アップした

  • Androidスマートフォン「AQUOS」

    スクロール時の文字にじみを低減する「なめらかハイスピード駆動」。応答速度の25%向上に加え、内部構造からチューニングを施すことで、前モデル以上の省エネ性を実現した

スペック面ではCPUに、Qualcomm Snapdragon SDM845を内蔵。前モデルと比較してCPU性能は30%アップ、グラフィック性能は30%アップ、さらにAIの機械学習処理性能も3倍高速化されたといいます。これを支えるのが前モデルで評価された放熱性能。効率の良い放熱設計とサーモマネージングシステムにより、放熱性は前モデルの約2倍、高クロックの持続力は約7倍になりました。

  • Androidスマートフォン「AQUOS」

    放熱性能のテスト。充電しながらYouTubeを再生し続けると、前モデルと5度程度の差が現れた

AQUOS sense liteの好調から生まれた初のSIMフリー専用モデル

今回もう1機種、シャープが「新たな挑戦」として発表したのが、AQUOS初のSIMフリー専用モデルとして開発されたAQUOS sense plus。昨年11月に発表されたSIMフリーモデルAQUOS sense liteが好評だったことから、これに「あと一歩の余裕を加えた」ものとして開発されました。ディスプレイは5インチから5.5インチへ、チップセットはAQUOS sense liteよりワンランク上のQualcomm SDM630を採用。アウトカメラ/インカメラも、1,300万/500万画素から1,640万/800万画素へ進化し、Wi-Fiは5GHzに対応します。

  • Androidスマートフォン「AQUOS」

    前モデルと横幅は同じまま、表示領域は23%アップ。防水性能、FeliCa搭載などの基本性能は引き継いでいる

AQUOS R2の販売目標台数について、シャープは数字での明言を避け、「前年度以上の販売を目指す」と語りました。動画専用のカメラを備えたAQUOS R2はまさにSNS時代の申し子。若い世代に受け入れられそうなスマートフォンといえそうです。

  • Androidスマートフォン「AQUOS」

    (左から)発表会にゲストとして登壇したDolby Japan 代表取締役の大沢幸弘氏、シャープ 通信事業本部 本部長代行 中野吉朗氏、同パーソナル通信事業部長 小林繁氏、AQUOS R2のデモ写真を撮影したフォトグラファー 黒田智之氏