日本マイクロソフトは23日、AIの開発と活用にあたって重視すべき6つの倫理的要件を発表した。

  • AIには信頼が必要

    AIには信頼が必要

マイクロソフトは、最終的にAIが信頼できる存在であるためには、透明性、安全性、 多様性に加え、最高水準のプライバシー保護を維持しなければならないと考えており、AIによるソリューションの開発と展開の中核にあるべき、6つの基準を設定した。

(1)「プライバシーとセキュリティ」:AIシステムは、データの収集・使用・保存を規制するプライバシー法に準拠し、個人情報がプライバシーの基準に合致して使用され、悪用や盗難から保護されるよう保証しなければならない。

(2)「透明性」:AIが人々の生活への影響が増すにつれ、AIがどのようにして判断したかを人々が理解できるように情報提供し、潜在的な偏見、エラー、予期せぬ結果を容易に特定できるようにしなければならない。

(3)「公平性」:例えば病気の治療や雇用に関する判断を行う場合は、同様の症状・技能の者であれば誰に対してでも同じ判断を行うべきである。公平性を保証するためには、バイアスがどのように影響を与えるかを理解しなければならない。

(4)「信頼性」:明確な条件の下で動作し、予期せぬ状況においても安全に応答し、想定と異なる形で進化しないように設計されていなければならない。AIシステムをどのようにいつ展開するかの意思決定においては、人間が重要な役割を果たさなければならない。

(5)「多様性」:不用意に人々を排除することになる製品や、環境の潜在的障壁を予期した多様性のある設計規範によって、広範な人間のニーズと体験に対応しなければならない。

(6)「説明責任」:AIシステムを設計・展開する人々は、システムの動作について説明責任を負う。その基準はヘルスケアにおけるプライバシーなど、他の分野での体験と実務に基づくべきであり、継続的に遵守されなければならない。

以上、6つの基準がマイクロソフトのAI製品とサービス設計の規範となっており、同社製品がこれらの基準に準拠するかを制度的に確認するための社内委員会を設置しているという。さらに、同社は、AI コミュニティの広範な取り組みに深く関与しており、AIのベストプラクティスを構築し、その認知度向上と人々と社会に対する影響の議論促進を目指すことを目的としたPartnership on AIを共同設立した。

マイクロソフトは、AIが多くの課題を解決し、人間性を支援し、その能力を強化すると考えているとしている。同社はAIの将来、そしてAIが作り出す未来について楽観的であるという。しかし、この未来を実現するためには、政府、企業、学術界、市民団体が協力して、信頼できるAIシステムを構築していくことが不可欠だと説明している。