NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手MNO3社は共同で記者会見を開催し、SMSの発展的サービスとして3社共通の仕様を採用し、相互互換性のある「+メッセージ」を5月9日から各社のスマートフォン・タブレット向けに開始することを発表した。一部で「LINE対抗」とも言われるサービスだが、果たして前評判通りにLINEの牙城を崩すことはできるのだろうか。

  • 左からNTTドコモの藤間良樹部長、KDDIの金山由美子部長、ソフトバンクの千葉芳紀部長。外部主催などのイベントを除き、3社の代表が揃い踏みするというのは、長年取材している筆者でもほとんど覚えがない

SMSよりはるかに高い表現力を持つ「+メッセージ」

スマートフォンにおいて、メッセージングサービスはもはや、電子メールよりも多用されるコミュニケーション手段だ。LINEやFacebook Messanger、TwitterのDMといった独立系のサービスや、iOSの「iMessage」やGoogleの「Androidメッセージ」といったプラットフォーマーがOSに標準搭載するサービスなどもあるが、電話番号をキーに送信できる「SMS」(ショートメッセージサービス)は、最も古いが、各種サービスの二段階認証に使われるなど、キャリアやプラットフォームを超えたコミュニケーション手段として広く使われてきた歴史がある。

とはいえ、SMSには文字数の制限も厳しく、画像やファイルも添付できないなど、現代のメッセージングサービスとしては表現力や使い勝手に大きな難がある。これを拡張して表現力を高めたものとしては、ソフトバンクが採用した「MMS」(マルチメディアメッセージサービス)もあるが、ドコモなどはこれを採用しなかったため、キャリア間の「共通言語」はSMSのままだった。

そこで、SMSを置き換えるリッチなコミュニケーションサービスとして開発されたのが「RCS」(リッチコミュニケーションサービス)だ。RCSはSMSのように電話番号に紐づけることができるが、同時に動画や画像(スタンプ含む)、位置情報、ファイルなども添付することができる。GoogleもRCSをAndroidでサポートすることを表明しており、すでに40近い国・地域のキャリアが採用している、次期国際標準としての期待を集めている。

今回発表された「+メッセージ」は、まさにこの「RCS」を使ったサービスだ。当初はLINE対抗という表現が先走ったが、見た目や表現力は確かにLINEに匹敵するものがある。SMSが1通あたりいくら、という課金方式であったのに対し、+メッセージは基本料金無料で、1通の送信にかかるコストはパケット代のみとなる。またLINEなどと異なり、電話番号に紐づいているため、利用にはアカウント登録やパスワード入力といった手間がかからない。

  • アプリの外見(チャット画面) 基本的な見た目は「LINE」やiOSの「メッセージ」でおなじみの対話形式UI。複数人のグループも容易に組める。無料で500種類以上のスタンプが用意されるが、デザインなどに非常にLINEを意識した様子が伺える

  • +メッセージアプリ内では電話帳に登録されたユーザーが+メッセージを利用できるかどうかが(インストールしているかどうか)がアイコンで判別でき、非登録ユーザーにもSMSで勧誘メッセージを送信できる。キャリアのネットワーク側で+メッセージの利用ステータスを管理し、アプリに通知する仕組みがあるようだ

  • RCSのアカウントは電話番号に紐づいており、IDやパスワードは必要ない。MNPが当たり前になった現在、電話番号は個人認証の意味も深まっているが、電話番号の持ち主が変わった場合やMNPしたときの処理については不明な点も多い