AIを活用した需要予測システムと車載端末およびユーザー向けの配車アプリを連動。効率的なタクシーの運行・配車を目指しており、実用化に向けて神奈川県タクシー協会とともに横浜市での実証実験を昨年実施した。そして今年春に正式リリースが予定されている。

山下氏は、「既存の有人タクシーと将来的に出てくる自動運転タクシーの双方を、同じプラットフォーム上で活かせる。だからこそ、早い段階から顧客接点を持つ神奈川県タクシー協会さんと共同で取り組みを進め、市場シェアを広げていく、という戦略で進めています」と、タクベルに注力している理由を説明する。

プラットフォームはスケールしなければ、簡単に別のプラットフォームへと乗り換えられてしまうリスクがある。なるべく早いタイミングでユーザーにサービスを体験してもらうことで、プラットフォームとしてのシェアを拡大させていきたいというわけだ。

移動の「選択肢」を増やしたい

世界の自動車や部品メーカーなどが、自動運転車の早期実用化を目指して急ピッチで開発を進めている。自動運転車自体の市場が今後拡大していくことは明らかだが、それを利用したサービスの市場はさらに広い。

MaaSという業界横断領域で、先行して自動運転車を利用したサービスを開発するという戦略をとるDeNA。日本政府が掲げている2025年の限定地域での無人運転サービスの拡大というロードマップに対して、DeNAは、今後のMaaSの方向性をどう見ているのだろうか。

「大きく見ると、移動主体をサービスとして提供しているタクシーも電車も、MaaSのひとつだと思います。場所や状況、ニーズによってアプリケーションの適用の仕方は変わります。従来のように1台のタクシーで1人で移動しても良いし、乗り合いでも良い。私個人としては、タクシーであろうと電車であろうと、お客様がその瞬間に一番安く早く便利に目的地へとたどり着ける移動の選択肢を増やしていくことが、MaaSの捉え方としては非常に重要であると考えています。お客様の移動の選択肢を増やすため、DeNAとしてはなるべくオープンに、海外のサービスも含めてさまざまな企業との提携を進めていきたいですね」(山下氏)