JAXAは2日、第2回国際宇宙探査フォーラム(ISEF2)の折に、欧州宇宙機関(ESA)のヴァーナー長官との間で、両機関の連携の深化を図るべく機関間の会合を開催し、2017年5月に両機関間で設置されたワーキンググループの検討結果と今後の連携について、共同声明を発表した。

ESAヴァーナー長官(左)とJAXA奥村理事長(右)

ESAヴァーナー長官(左)とJAXA奥村理事長(右)

共同声明の発表者は、JAXA理事長の奥村直樹氏とESA長官のヨーハン=ディートリッヒ・ヴァーナー氏。共同声明は以下の三つ。

活動領域の拡大における連携:「両機関長は、ワーキンググループにおける検討結果をもとに、持続可能な月探査の意義を認識し、ESA及びJAXAそれぞれの探査シナリオについて情報を共有した。両機関長は、ディープ・スペース・ゲートウェイを含む国際宇宙探査協同グループ(ISECG)の国際宇宙探査ロードマップ(GER)第3版を支持し、両機関とカナダ宇宙庁(CSA)がともに進めている将来の月探査に向けた技術実証ミッションの共同検討を支持する。この技術実証ミッションは、将来の月面探査に使われる推進、ガイダンス、ナビゲーション、長距離遠隔地上自動走行、その場資源利用の技術を成熟させることを目指すものである。」

地球規模の課題と共同貢献の確認:「パリ協定の実現に貢献するため、衛星観測データが、各国による温室効果ガス排出量の一覧表(インベントリ)の科学的根拠となることを目指し、両機関と国立研究開発法人国立環境研究所(NIES)は2017年12月11日、パリ市において、「温室効果ガスのリモートセンシング及び関連ミッションに関する協定」を締結した。本協定は、世界初の温室効果ガス専用の観測衛星である「いぶき」及びその後継機である「いぶき2号」(2018年度打上げ予定)とESAの地球観測衛星Sentinel-5PおよびFLEXから得られるデータを互いに校正・検証することで、衛星観測データの信頼性を向上させると共に、均一性を図ることを目的としている。」

ベピコロンボにおける協力:「ESA-JAXA共同水星探査ミッション「ベピコロンボ」は2018年に打ち上げ予定である。ESAとJAXAは、この重要な長期ミッションのため、広報活動を含む、共同の努力を続けていくことを支持する。 」

両機関長は、これらの成果を踏まえ、今後さらに協力を促進していくことに同意した。