東北大学は2月27日、繊毛と呼ばれる多数の毛のような器官を使って泳ぐ微生物が、行っては2度と戻れないデッドエンドで行き詰まることなく、泳ぎで巧みに回避することを発見したと発表した。

  • 左端のデッドエンドを避け、Uターンして逃げる微生物のイメージ (出所:東北大学Webサイト)

同成果は、東北大学大学院工学研究科の石川拓司 教授と菊地謙次 准教授によるもの。詳細は英国科学誌「Proceedings of the Royal Society B」に掲載された。

肉眼では見えないほど小さな微生物は、我々の身の回りに広く存在している。ヒトの体内にも、1kg程度の微生物が棲みついていると言われている。こうした微生物が、地中や体内などの危険要因が多い入り組んだ環境において、どのように逃げて生き延びているのかは不明だった。

今回の研究では、繊毛と呼ばれる多数の毛のような器官を使って泳ぐ微生物が、行っては2度と戻れないデッドエンドで行き詰まることなく、泳ぎで巧みに回避することを発見した。また、実験と数値シミュレーションによる解析により、デッドエンドを回避する泳ぎは、繊毛を使って泳ぐ微生物が広く持ち合わせていることを明らかにしたという。

こうした微生物は、クジラなどが立ち往生してしまう浅瀬のような困難な環境下においても、逃げ道を見出して効率的に生き延びていると考えられると研究グループは説明している。

なお。今回の成果を受けて研究グループは、同成果により微生物が複雑な環境で生き延びる仕組みを明らかにし、将来的には、感染症が広がっていくメカニズムの解明などに役立つと期待されるとしている。