Optane SSD DC P4800Xの主戦場は間違いなくエンタープライズなのだが、コンシューマー用途で使った場合のパフォーマンスが気になるのではないだろうか。この数値がOptane SSD 900Pを検討する際の参考にもなるだろう。

そこで、一般的なベンチマークで性能を計測してみた。比較対象としては、同じPCIe NVMe 3.0x4接続のHHHL SSDと、現在もっとも普及しているSerial ATA 3.0接続の2.5インチSSDを用意した。

以降、Optane SSD DC P4800X 750GBモデルはOptane P4800Xと、Plextor M8Se(Y) 512GBモデルはM8Se(Y)と、Crucial MX500 1TBモデルはMX500と表記する。

・CrystalDiskMark 6.0.0 x64

まずはCrystalDiskMark 6.0.0 x64。Optane SSD DC P4800Xはほぼすべてでトップスコアを出しているものの、比較対象のM8Se(Y)が現行最速のNVMe SSDではないのでその点には注意したい。

個別テストの内容を見ていくと、Optane P4800Xはシーケンシャルリード/ライトでともに2GB/sを超えている。前述のとおり、シーケンシャルリードに限ればOptane SSD DC P4800Xを超える製品はあるが、ライトで2GB/sを超えるものは少なく、それと比較をしても高速と言えるだろう。

  • CrystalDiskMarkグラフ

Optane P4800Xはランダムリード/ライト(Q8T8)もスコアがよく、マルチタスクかつキュー数の多い状態で効果を発揮しそうだ。このあたりがエンタープライズ用途に適しているという所以だろう。ランダムリード/ライトのQ32T1は高速ではあるものの、特に比較対象との間で優位性が大きなものではない。さらに言えば、より高速なNVMe SSDはある。

続くランダムリード/ライトは、とくにリード側で再びほかを大きく圧倒している。一般的なNAND NVMe SSDでもここは50MB/s前後まで落ち込むことが多いので、そこで200MB/s近い値を出していることは大いに評価できるとともに、このあたりが体感速度に効きそうだ。ライトについては、今回比較した中ではトップで、市販のNAND NVMe SSDでもトップクラスと言える値だ。

  • CrystalDiskMarkグラフ(IOPS)

・ATTO Disk Benchmark v3.05

ATTO Disk Benchmark v3.05の結果では、Optane P4800Xの安定した転送速度が分かる。特徴としてはやはりリード/ライトの性能差が小さいことが、ほかの2製品と比較してよく分かる。

その上で、32KB以下の小さなファイル転送においてもパフォーマンスがよく、64MBのように大きなファイルの転送でもパフォーマンスの低下が小さい。こうしたムラの少なさも、体感速度では効いてくるのではないだろうか。

  • ATTO Disk Benchmarkの結果(Optane P4800X)

  • ATTO Disk Benchmarkの結果(M8Se(Y))

  • ATTO Disk Benchmarkの結果(MX500)

・AS SSD Benchmark v2.0.6485.19676

AS SSD Benchmark v2.0.6485.19676では、ツールのCopy-Benchmarkを試した。ISOファイル、プログラムファイル、ゲームのファイルを模したコピー処理を行い転送速度を得るテストである。これも興味深い結果だ。

ISOについては、およそシーケンシャル転送に近いため、CrystalDiskMarkやATTO Disk Benchmarkに似た結果である。Programについても、これはランダム転送の割り合いが高いため、同様にCrystalDiskMarkやATTO Disk Benchmarkに似た傾向となった。

最後のGameは特徴的な結果だ。シーケンシャル転送とランダム転送の要素が入り混じる内容のためか、NAND NVMe SSDのM8Se(Y)はややランダム寄りの転送速度であるのに対し、Optane P4800Xは1GB/sを超える結果だった。

  • AS SSD Benchmark - Copy Benchmarkの結果(MX500)

  • AS SSD Benchmark - Copy Benchmarkの結果(MX500)

  • AS SSD Benchmark - Copy Benchmarkの結果(MX500)

つまり、複雑な転送でパフォーマンスの低下が小さいと捉えることができるだろう。実際、PCを使う上ではシーケンシャル転送ばかり、ランダム転送ばかりといった偏りのある処理よりも、ほどよく入り混じった処理を行う割り合いのほうが多い。

この意味で、Optane技術は普段使いでその真価を発揮するのではないだろうか。また、ゲームに強いというところも注目だ。ゲームについては、速度だけではなく容量も求められるため、この結果をもってOptaneをオススメできるわけではないが注目に値するだろう。

・FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

AS SSD Benchmarkのゲームの結果を受けてFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークのローディングタイムを確認してみた。こちらはAS SSD Benchmarkほどのアドバンテージはなかったが、トップはもちろんOptane P4800Xだ。

ベンチマークということで、シーンが分割されており、少しずつ読み込むということを考えると、AS SSD Benchmarkの結果とは異なる傾向になったといえそうだ。とりあえず、速さという点でアドバンテージがあることは確かだ。

  • FFXVベンチマークテスト ローディング

・PCMark 8

PCMark 8のStorageテストを見てみよう。

  • PCMark 8のStorageテスト

スコアで比較をすると、Optane P4800Xが5131、M8Se(Y)は5051、MX500は5000だった。ただしこれを転送速度で見ると、Optane P4800Xは1272.1159MB/s、M8Se(Y)は446.518287MB/s、MX500は316.565436MB/sとなった。

Optane P4800Xが超高速なのに対し、NAND NVMe SSDのM8Se(Y)がSerial ATA接続のMX500の少し高速程度に収まってしまったのは、おそらくランダム性能の差が出たのだろう。

テスト中のAdobe After Effectsテストの1回目を抽出してみると、平均のリード/ライト転送速度は、Optane P4800Xが1045.690MB/s、M8Se(Y)が342.886MB/s、MX500が256.284MB/sだった。また、アクセスタイムでは、Optane P4800Xが40μs、M8Se(Y)が170μs、MX500が260μsと、ここでもOptane P4800Xがダントツだ。

そのほか本テストでは10のアプリケーションを実行するが、いずれもOptane P4800Xは1GB/s以上の値を出し、ほかに大差を付けている。中にはBattlefield 3やWorld of Warcraftといったゲームタイトルも含まれるので、Optaneがゲームを快適に楽しむための頼れるアイテムであることは間違いなさそうだ。

テスト項目 Optane P4800X M8Se(Y) MX500 単位
Adobe After Effects
Average access sec 40 170 260 μs
Bandwith bps 1045.690 342.886 256.2841 MB/s
Adobe Illustrator
Average access sec 40 180 280 μs
Bandwith bps 1108.295 379.241 272.388 MB/s
Adobe InDesign
Average access sec 60 350 570 μs
Bandwith bps 1338.984 451.116 361.467 MB/s
Adobe Photoshop Heavy
Average access sec 120 730 1080 μs
Bandwith bps 1604.309 598.579 442.207 MB/s
Adobe Photoshop Light
Average access sec 100 300 720 μs
Bandwith bps 1531.723 826.864 434.348 MB/s
Battlefield 3
Average access sec 40 170 290 μs
Bandwith bps 1111.326 441.402 290.053 MB/s
Microsoft Excel
Average access sec 50 210 290 μs
Bandwith bps 1311.121 382.555 289.477 MB/s
Microsoft PowerPoint
Average access sec 50 230 370 μs
Bandwith bps 1463.942 459.637 326.220 MB/s
Microsoft Word
Average access sec 60 240 450 μs
Bandwith bps 1447.907 475.837 255.450 MB/s
World of Warcraft
Average access sec 50 200 310 μs
Bandwith bps 1237.910 376.017 278.384 MB/s