26日にスペイン・バルセロナで開幕したMWC2018に、日本のオーディオ・ビジュアルブランドであるオンキヨーが初めてブースを出展していました。展示の目玉はポータブルオーディオファンにお馴染みのハイレゾスマホ「GRANBEAT」のタブレット版と、オートモーティブ用スマートスピーカーのプロトタイプ。それぞれの詳しい内容をレポートしたいと思います。

  • オンキヨーが12.5インチ/4K液晶ディスプレイを搭載するハイレゾ対応の「GRANBEAT Hi-Res Tablet」を世界で初めてMWCで披露した

オンキヨーのブースにお目見えしたのは12.5インチという迫力サイズのタブレット。名前は「GRANBEAT Hi-Res Tablet」。2017年2月に日本で発売されたスマホのGRANBEATファミリーが4K映像も高画質なタブレットに拡大するというわけです。発売時期や価格、日本での展開などは未定の試作機としてMWCで初公開されました。ハイレゾスマホのGRANBEAT「DP-CMX1」が日本だけでなく香港でも発売されていたり、ヨーロッパではハイレゾDAPの「DP-X1」も高い人気を誇っていることから、筆者が取材中にもオンキヨーのブースにはアジアや欧州のプレスが次々をやってきて、ど迫力のGRANBEATタブレットの展示に釘付けになっていました。

  • アルミボディを贅沢に使った本体背面を見てもその迫力が伝わってくる

今回もAndroid OSを搭載していますが、バージョンが最新のAndroid OS 8.0になっています。DACやヘッドホンアンプはスマホ版GRANBEATと同等のスペック。Wi-FiでインターネットにつないでGoogle Playストアから様々な音楽・映像配信サービスを追加できます。

どんな用途に使うタブレットを想定しているのでしょうか? オーディオ再生はもちろんハイレゾ対応。今回も搭載しているより高音質な「バランス接続」用のイヤホン端子と3.5mmのステレオミニ出力の両方で従来からのタブレットの常識を超えた「いい音」が楽しめます。USBオーディオ出力やWi-FiでホームネットワークにつないでNASに保存している音楽の再生などにも対応しています。

  • 側面には3.5mm/2.5mmのイヤホン出力を搭載

オンキヨーがタブレット版GRANBEATにかける本気度の高さは画素数3,840×2,160ドットの4Kディスプレイにあります。「音楽だけでなく、映画など動画鑑賞もハイクオリティ」が開発中のGRANBEATタブレットのコンセプト。映像の画質調整はあのパイオニアが2009年まで生産していた、銘機の誉れ高いプラズマテレビ「KURO」シリーズを手がけた映像エンジニアによるものなのだとか。そのことを知る前にブースに展示されていた実機でデモ映像を視聴してみたのですが、確かに吸い込まれるように鮮やかで黒色が引き締まった映像の没入感に圧倒されてしまいました。

タブレットとしては異例となる計4基のスピーカーを本体に搭載しています。全部フロント側に向いていて、コンパクトスピーカー向けに開発された容積の小さなキャビネットに配置しても、パワフルでキレのある音を再現できるオンキヨー独自開発の振動板「ODMD」が全部のユニットに搭載されています。スピーカー再生はハイレゾ対応ではありませんが、その代わり、DTSがモバイル向けに開発した最新ポストプロセッシング技術である「DTS:X Premium」に対応したことで、タブレット単体で臨場感の高いサラウンド再生が楽しめます。

騒がしい展示会場だったので、本機のスピーカー再生のデモンストレーションで実力を100%の状態では確認できませんでしたが、音圧・解像度ともに従来のタブレットと「別格」であることはどうやら間違いなさそう。今回の試作機は左右2個ずつのスピーカーをステレオ使いにして音を鳴らしていましたが、4個のスピーカーをディスクリートで鳴らして、高さ方向の立体音響成分をタブレットだけで再現することも検討されているようです。

ほかにもDTS Play-Fiの技術をサポートしているので、GRANBEATタブレットと日本でも招待制販売が行われているAlexa搭載のスマートスピーカー「P3/VC-PX30」など、オンキヨーやパイオニアも発売しているDTS Play-Fi対応機器をホームネットワーク環境でつないでマルチルーム再生にも展開ができます。

  • 専用のドックに装着すればバッテリーを確保しながら音楽や映画をゆったり楽しめる

タブレットの本体には大容量のバッテリーも内蔵。大きさを考えると家の中が活躍のメインフィールドになりそうですが、もちろんアウトドアで使ってもOK。どんなタブレットに仕上がるのか、日本での発売も含めて期待が高まる製品です。