「Photoshop Sketch」(無料)は、その名の通りスケッチをするためのアプリです。お絵描き的なアプリは数多く存在するものの、Adobe SketchはiPad ProとApple Pencilのメリットを最大限に引き出した作りなのが目を引きます。

  • 世界のクリエイターがAdobe Sketchで作成したイラスト。このような本格的なイラストの描画がiPad ProとApple Pencilのみででき、しかもアプリ自体は無料で使えるのに驚かされる

まず特筆すべきなのが、鉛筆や筆などを使った際の表現を、iPad ProとApple Pencilできわめて忠実に再現できること。Apple Pencilは筆圧を検知できるので、強く押し込むように描けば線が太く、弱い力で描けば線が細くなります。さらに、Apple Pencilは傾きも検知できるので、横に倒して描けば鉛筆の芯の腹を使って広い範囲を淡く塗れるのもリアル。紙との違いがきわめて少ないので、普段鉛筆とスケッチブックを使っている人もストレスを感じずに作業できるでしょう。

  • Apple Pencilは筆圧を検知でき、筆圧に応じて線の太さや色の濃さが変化する。鉛筆やペンの挙動をリアルに再現している

  • Apple Pencilはペンの角度も検知できる。寝かせた状態にしてペンを走らせると…

  • 鉛筆の芯の腹を使った時のように、広い範囲を薄く塗れる

作業中、iPadの画面に手のひらが触れても、それは手だと認識して無視されるので、手の部分がベッタリと塗られることはありません。

  • 画面の上に手を載せながら作業しても、その部分は描画にまったく影響を与えない。手をしっかり安定させた状態で描画に臨めるので、より細かい作業が可能だ

圧巻なのが、描画でミスをしたりして処理を取り消したい場合に使うアンドゥの操作。3本指を画面に当てると上部に青いゲージが現れ、左右に動かすだけでアンドゥ/リドゥの操作ができます。数ステップ前の状態にも簡単に戻せるこの操作に慣れてしまうと、消しゴムで細かく作業しなければならない鉛筆と紙にはもう戻れません。

  • 3本指をiPadの画面に当てて左に動かすと、アンドゥの操作ができる。動かす距離に応じて次々にアンドゥが進み、右に動かせば戻っていく

  • 3本指を使ったアンドゥとリドゥの様子。わざわざ小さなアンドゥやリドゥのボタンを探してタップするのと比べ、直感的かつスムーズに作業できる