Apple Watchでは、前述の通り、iPhoneを通じて様々なアプリを追加できる。開発者はiPhoneアプリの機能の一部をApple Watchで利用したり、Apple Watchを主として活用するアプリを制作したりといったことが可能だ。開発環境はiPhone向けアプリと共通化されているため、インターフェイスの違いなどを考慮すればハードルは低いといえよう。

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筆者が普段活用しているアプリは、移動手段をナビゲートしてくれる「CityMapper」や、水分補給を記録する「Waterminder」、訪れた場所をチェックインして記録するFoursquareの「Swarm」、自宅のライトをコントロールできる「Phillips Hue」などだ。

Apple Watchアプリのアドバンテージは、手首に備わっているから記録できるモーションデータや、情報を瞬時に確認できること、ワンタップ程度で済む操作をスマホなしで実現できることが挙げられる。言い方を変えると、それ以上の複雑な操作を実現しようとは思わない、ということだ。それゆえ、Apple Watchでの活用にそぐわないと考えるアプリは、App Storeから取り下げるという事例も出てきている。AmazonやeBayといったEコマースサービスを提供している企業は2017年初頭までにWatchアプリの公開を取りやめており、Googleも同年5月に、iOS向けGoogleマップのWatchアプリを削除している。またTwitterは、同年9月のiPhoneアプリのアップデートで、Watchアプリを削除した。

大手テクノロジー企業が相次いでApple Watchアプリを取り下げている背景には、いくつかの理由があり、自社のビジネスやデバイスとの競合もこれに含まれるが、最も大きな理由は、ユーザーの利用率が低くかったり、サービス体験として成立し得ないとの判断があると考えられる。

削除されたアプリの中で、筆者はTwitterアプリを利用していたことがあったが、Apple Watch Series 2との組み合わせでも、タイムラインの読み込みがいつまでたっても終わらず、投稿など他の操作を行うこともままならなかったため、自分でTwitterのWatchアプリを外していた。今では、iPhoneのTwitterアプリで、速報系のニュースアカウントの新規投稿を通知するよう設定し、これをApple Watchで確認する使い方に落ち着いている。Apple Watchに届いた通知で全文が読める上、「いいね」「リツイート」を通知内のボタンで行うことができる。実際、この使い方で十分だった。

Apple Watch自体が新しいデバイスで、その可能性を探るべくアプリを開発する流れが浸透したところから、実際のユーザー体験の向上につながるアプリだけが残り、その他が淘汰されていく過程を見ているということなのだろう。