ここまで見てきたように、個別に見ていくとパッチの影響が小さいように見えても、シチュエーションによっては相互に関わり、大きな影響となって現れることもある。ベンチマークでは小さな差でも、普段、繰り返し作業していれば積もり積もって大きな差となることも考えられる。

PCの使い方は人それぞれなので、最新PCであっても大きく出る場合もあれば、旧世代PCであっても大した影響が現れない場合もあるだろう。今回の脆弱性を突くマルウェアも登場したようなので、踏み台にされないためにもパッチを適用するほかないが、これからパッチを適用するというユーザーはいまの環境における体感速度を覚えておくと、PCやパーツのリプレースを判断する材料になるだろう。

システムが不安定になることへの対策パッチは、旧世代CPU向けにも提供されると思われる。ただし、この脆弱性はハードウェアの設計自体に起因するもので、システムが安定してもパフォーマンスがパッチの適用前まで回復する可能性は低い。

パッチを適用したことで体感速度に不満がある場合、PCの買い替えが最善の策といえそうだ。ただ、買い換えるとなっても、今回の最新環境のようにパフォーマンスへの影響が比較的小さいプラットフォームとするのか、あるいはしばらくは現行の環境でしのぎ、脆弱性への対策が施された新しいプラットフォームを待つのがよいのか、難しい選択である。

PCに詳しい人は、自身でベンチマークを取ることもあるかと思われるが、今後のベンチマークにおいて注意を促しておきたい。今回の脆弱性に対するパッチは、特にストレージで影響が大きい。

そのため、例えばパッチ適用前に計測したベンチマークと、パッチ適用後に新たに入手したパーツのベンチマークを、同列で比較できなくなった。面倒だが、パッチ適用後ならパッチ適用後で環境を統一して再計測せざるを得ないわけだ。できれば、パッチ適用前か適用後か、明記すると親切だろう。その意味では、我々メディアにとっても影響の大きな問題と言えるだろう。