今回の検証では、パッチ適用前と適用後で同じベンチマークを用いて計測、結果を比較した。計測はすべて3回行い、平均値を出している。用いたベンチマークは以下の通りだ。

  • CINEBENCH R15
  • MediaEspresso 7.5
  • バッチファイルによる写真のコピーテスト
  • CrystalDiskMark 6.0.0
  • PCMark 8 - Storage Test(C:)
  • ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク
  • Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands
  • Hitman 2016
  • 3DMark
  • VRMark
  • PCMark 10

グラフについては、旧環境を100%としたものとしている。

CINEBENCH R15

CINEBENCH R15はCPU演算で3DCGを作成するレンダリングベンチマークで、CPUに対するパッチの影響が確認できる。パッチ適用前の「CPU」が1029cb、「CPU(Single Core)」が186cb、適用後は1022cb/184cbで、比率はCPUが99.35%、CPU(Single Core)が98.92%となった。

  • CINEBENCH R15

    CINEBENCH R15

CPU(Single Core)側は3回計測してもブレが小さく、2cbとはいえパッチの影響が出ているように見える。一方、Turbo Boostの影響がより大きなCPU側はそもそもベンチマークスコアのブレが大きい。状況次第だが、3回の平均を取った結果なのでわずかとはいえ影響はありそうだ。

MediaEsspresso 7.5とバッチファイルによる写真のコピーテスト

動画ファイルのトランスコード処理を行うMediaEsspresso 7.5は、CPU処理を行うよう設定したうえで計測した。パッチ前後での比率は101.85%だった。これは所要時間であるため、2%近く処理時間がかかったということになる。

コンマ以下の秒は計測できないが、パッチ前の181秒に対してパッチ後が184秒なので、3秒というわりとはっきりとした差がついた。

2つのテストから、CPU演算において影響は軽微だ。とはいえ、コマ数が多いレンダリングや長時間・高画質のトランスコードではより影響が出やすい。それが何度も繰り返す作業であれば、積もり積もって大きな差となりかねない。

古いプラットフォームでは影響もより大きいと言われている。これらをメインとして使っていて、仮に大きく体感速度を落としてしまった場合は、PCの買い換えやプラットフォームの刷新を検討してもよいだろう。

Sandy Bridge、Ivy Bridgeなどの優秀なCPUを最前線から外すことはもったいない思いもあるが、サブPCや録画PC、ファイルサーバなど、活用できる用途はあるはずだ。

  • MediaEspresso 7.5

    MediaEspresso 7.5 & バッチファイル

続いてストレージテストに移るが、I/OはCPUが関連するため、これもパッチの影響が出るだろうところである。バッチファイルによる写真のコピーテストは、771枚、3.98GBの写真データの転送直前と処理完了直後にタイムスタンプを出力する形で処理時間を計測した。

結果はパッチ前の15秒に対し、パッチ後は16秒だった。1回計測ごとにファイルを完全削除し、再起動した後に計測しているが、それでも各2秒程度のブレがあり、結果が多少かぶっている点に注意したい。

このテストはSerial ATA接続のSSD間の転送であるため、メモリカードリーダーからSSD/HDDはもう少し伸びる可能性があり、ファイル枚数や容量が増えればより長時間の差がつくかもしれない。

CrystalDiskMark 6.0.0

CrystalDiskMark 6.0.0では大きな差が生じた。スコアに大差が生まれたのは、ランダム4Kリード/ライトのQ32T1時とランダム4KライトのQ1T1時だ。また、ランダム4KリードのQ1T1時も、影響と判断できる程度の低下が見られた。

まず、ランダム4Kリード・ライトのQ32T1時は、パッチ前が380.529MB/s・341.726MB/sに対して、パッチ後は239.317MB/s・214.108MB/sと、100MB/s超の差がついた。

  • CrystalDiskMark 6.0.0

    CrystalDiskMark 6.0.0

ランダム4Kリード・ライトのQ1T1時は、パッチ前の31.048MB/s・136.956MB/sに対し、パッチ後は29.249MB/s・106.625MB/sとなり、もともとシーケンシャルやランダム4KのQ8T8と比べるとそこまで高速ではないことを考慮すると大きな速度低下となった。

ただ、ランダム4KでもQ8T8にはほとんど変化がない。ここが謎だ。おそらく、T(スレッド数)が多ければ、その影響が小さくなるということだろうか。逆にQ(キューの深さ)はあまり関係ないように見える。通常のファイルコピーや読み書き時に、理想的なQ/Tで処理されるのかということを考えると、実際は影響が出そうなところである。

ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク

ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマークのローディングタイムも比較してみた。ゲームの起動も、ランダム4K処理の多いところである。グラフィックテストも行った都合、3840×2160ドット、1920×1080ドットの2パターン計測しているが、前者が102.28%、後者が103.28%と、2~3%程度、ローディング時間が伸びている。

  • FFXIV ローディングタイム

    FFXIV ローディングタイム

このように、ストレージ性能については、パッチの影響で大きなパフォーマンス低下が見られる。パッチ前のレベルまで戻したいとなれば、より高速なSSDへの換装を検討するのがよいだろう。

PCMark 8のStorageテストでは傾向が異なる

ただし、PCMark 8のStorageテストではそのほかのテストとは傾向が異なった。パッチ前の4946に対しパッチ後が4961で、差は0.3%とスコアに大きな差はなかった。Storageテストは、adobeやMicrosoftのアプリケーション、いくつかのゲームタイトルを実行するが、そのなかにも低下するものと向上するものが混在していた。

PCMark 8では膨大なデータを読み書きするため、キャッシュの効き方がCrystalDiskMarkやファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマークのローディングタイムとは異なるのかもしれない。ストレージ性能でも、シチュエーションによっては影響が出にくい場合もあるのではないだろうか。