鉄道が磁気式プリペイドカードを導入したことにより、もっとも大きく変わった点は、駅における利用客の流れであろう。

関東や関西では自動券売機の台数が必要最小限にまで減らされた駅が目立つ

それまでは、運賃表で目的地までの運賃を確認し、自動券売機できっぷを現金で購入してから、鉄道を利用するのが当たり前であった。しかし、磁気式プリペイドカードをあらかじめ購入しておけば、乗車前の手間はほぼ皆無になり、利用客はダイレクトに改札口へ向かえるようになったのだ。この人の流れは、ICカード時代となった現在へと引き継がれている。

当然ながら自動券売機の利用頻度が減り、台数を減らすことが可能になった。これは大きな設備投資、およびメンテナンスコストの削減となる。乗車券類の用紙代一つとっても、相当な節約となったであろう。

ターミナル駅で貴重なスペースを産む

捻出されたきっぷ売り場のスペースは、その多くが商業施設へと転用された

さらに自動券売機用、つまりは「きっぷ売り場」のスペースが、より小さくても済むようになった。そこで売り場を整理統合。捻出した空間を商業施設へ転用する鉄道会社が、いくつも現れた。収益のアップとコスト削減が同時に図れる、一石二鳥の経営施策として、磁気式プリペイドカード導入の効果は大きかったのだ。 特に都心のターミナル駅では、もともと自動券売機の台数が多く、もちろん利用客数も多いため、効果はよりてきめんであった。ずらりと並んだ券売機に代わり、改札外のコンコースにも大小さまざまな商店が並ぶようになった時期は、「スルッとKANSAI」や「パスネット」の普及と軌を一にしている。