ソニー「DSC-RX0」は、水中使用や落下、衝撃に強い超小型の高級コンパクトカメラです。今回は、そのタフネス性能と機動性の高さを生かして、身の回りのさまざまな場所に設置。モノの視点から世界を眺める「主観ショット」の映像を楽しんでみました。
映画用語に「主観ショット」というものがあります。カメラの視線と登場人物の視線を一致させるようなカメラワークのことで、POVショット (Point of View Shot) や一人称視点とも呼ばれています。主観ショットは人間の視線に限りません。例えば、ドローンの映像は鳥の主観ショット、ドライブレコーダーの映像は自動車の主観ショットと考えることができます。
携帯性とタフ性能を併せ持つ異色の高級コンパクト
RX0を初めて触ったとき、これは主観ショット用のカメラだ、と直感しました。なにしろボディは手の中にすっぽりと隠れるくらい小さく、重さはわずか110g。凹凸がほとんどないスクエア形状であり、三脚などを使わずに、好きな場所にちょこんと置いて撮ることができます。
レンズは24mm相当の広角単焦点で、撮像素子には1.0型の有効1,530万画素CMOSセンサーを搭載。背面には1.5型の液晶モニターと操作ボタンを備え、撮影などの各種操作は本体から、またはスマホのアプリから行えるようになっています。
これまでにも、例えば2013年に発売された「DSC-QX10」や「DSC-QX100」などスマホから操作できる超小型のカメラはありました。ただ、今回のRX0は、単に小型軽量なだけでなく、防水性と堅牢性を持つことが大きな特長です。水深10mの水中撮影に対応するほか、2mの落下耐性と200kgfの耐荷重性能を備えています。悪条件下でも問題なく使えるヘビーデューティー機というわけです。
注意したい点は、手ぶれ補正機能を搭載していないこと。ボディを動かしながら撮るには不向きであり、ソニーとしては「アクションカムではない」と位置付けています。
RX0で撮るべきはアート作品? それとも……
では、何を撮るためのカメラなのでしょう。メーカーの公式動画を見ると、複数のRX0を並べてバレットタイム撮影をしたり、スタジオの床や天井、プールなどに設置してダンサーやアスリートを撮ったりしています。どれも映像としては見事ですが、個人で真似るにはハードルが高すぎです……。
そこで、ここではRX0の活用法として「身の回りにある道具や家電を利用したファミリー向けの主観ショット」というアイデアを提案したいと思います。子どもや家族の記録といえば、ただシャッターを押しただけの平凡な写真や動画になりがちですが、そこに主観ショットというワザを加えると、どんな仕上がりになるのか。次ページからが実践編です。