DTS Play-Fiは、Wi-Fiを利用したワイヤレスオーディオ規格です。SpotifyやDEEZER、TIDALなど各種ストリーミングサービスに対応するほか、NASに保管された音源の再生 (DLNA/DMP) にも対応します。一般的なBluetoothスピーカーはスマートフォンやタブレットから送信された音データを再生しますが、自律的にインターネットへ接続できる「P3」の場合、スマートフォンやタブレットはリモコンに近い位置付けといえます。

スマートフォンやタブレット上の音源をWi-Fi経由で再生する際にはロスレスコーデックを利用できるため、必ずデータ圧縮を伴うBluetoothより音質的には有利です。最大で192kHz/24bitのハイレゾ音源も扱えますから、より高品質な再生が狙えます。

ところでP3は、AlexaとDTS Play-Fiの両方に対応した「一人二役」的デバイスです。音声コマンドはAlexa対応スピーカーとしての機能であり、スキルの追加や買い物、やることリストの管理には「Amazon Alexa」アプリを利用します。一方、スマートフォン上の楽曲再生やDLNA/DMP (メディアサーバー) はDTS Play-Fiとしての機能ですから、利用するのは「ONKYO Music Control」アプリです。DTS Play-FiはAlexaと異なる技術体系ですから、基本的に音声コマンドとは連携しません (少なくとも現在のところは)。

P3に「アレクサ、止めて」と呼びかけると

そのため、P3を利用する場合はユーザ側に「暗黙の了解」が求められることになります。Alexa対応のスマートスピーカーですから、どのような曲を再生していても「アレクサ、止めて」で一時停止できると考えてしまいがちですが、SpotifyやメディアサーバーなどDTS Play-Fiの再生機能を利用しているときに「アレクサ、止めて」と命令しても止まりません (アレクサ、という呼び掛けには反応します)。DTS Play-Fiの再生機能をコントロールしたいときには、P3本体のコントロール部に直接触れるか「ONKYO Music Control」アプリを使わなければなりません。

ボリューム調整と音声コマンドの割り込みは例外です。どのような再生アプリを利用していても「アレクサ、ボリュームを上げて」という声に反応してくれますし、「アレクサ、明日の天気は?」という質問にも答えてくれます。回答が終われば音楽再生が続行されるので、実用上困ることはないでしょう。

とはいえ、AlexaとDTS Play-Fiの一人二役であることの理解は必要です。たとえば、メディアサーバーの曲を再生しているとき、「アレクサ、曲をスキップ」と音声コマンドを実行すると、制御がAlexaに移ってしまい、直前にAlexaの機能で再生していた曲 (Amazon Prime Musicなど) に切り替わってしまいます。DTS Play-Fiの再生機能を利用しているときは、曲操作関係の音声コマンドを使うことは避けましょう。

  • iCloudカレンダーに標準対応しているので、iPhoneやiPad、Macで管理しているスケジュールをすぐに確認できます

  • 音声コマンドを使ってAmazonで買いものができることは、Alexaならではの機能です

  • Alexaの標準機能としてサポートされている音楽サービスは、2018年1月現在、Amazon MusicとTuneInのみです