富士通では、LIFEBOOK UH/B3シリーズに採用したキーボードから、開発の仕組みを変更している。それは、「Mr.キーボード」と呼ぶ、キーボードに関してすべての責任を持つ担当制度の導入だ。
従来は、PCの製品企画ごとにキーボード担当者が存在。製品ごとにキーボードを開発し、それぞれにチューニングを行っていた。そのため、同じ富士通のノートPCでも、操作感には差があったといえる。新体制では、Mr.キーボード制度によって、キーボードの開発およびチューニングを総括。統一された感性によってチューニングが行われ、それぞれのノートPCに搭載されることになる。
そして、初代Mr.キーボードには、富士通クライアントコンピューティングの藤川氏が就任した。
たとえば、この統一した感性を実現するために、世界最軽量を目指すLIFEBOOK UH/B3シリーズでは、4gの重量増になるにも関わらず、1.5mmのキーストロークを採用した。LIFEBOOK UH/B3シリーズが最初にこのキーボードを搭載した製品ではあったが、今後、あらゆるノートPCで統一的な感性を実現するには、ここで1.5mmのキーストロークを採用する必要があったと判断したからだ。
LIFEBOOK UH/B3シリーズで重量を犠牲にしてまで1.5mmのキーストロークを採用したのは、キーボードを、富士通クライアントコンピューティングのコアテクノロジーのひとつと再定義した同社が、最初に世の中に問うキーボードになったからだ。今後、この感性をベースに、横展開されることになる。
他のLIFEBOOKにも横展開、次の進化は……
実は、Mr.キーボードは現時点では仮称である。というのも、Mr.キーボード制度は、今後、それぞれの主要部品などの領域にも波及することになり、「Mr.○○」といった人材が誕生することになる。だが、その際に女性が責任者になる可能性もある。「Mr.」という名称があわなくなることを考慮して、今後、「Mr.」以外の正式名称を決定していくことになりそうだ。
Mr.キーボードである富士通クライアントコンピューティングの藤川英之氏は、「今回のキーボード搭載を第1弾として、確実に書くことができる、こだわりのキーボードを進化させたい。より静音化するといったこともひとつの手段といえる。今後も、これが、富士通クライアントコンピューティングのキーボードであるという信頼をもらえるように、富士通コンポーネント、島根富士通と一体となって、開発、製造を続けていきたい」とする。
Mr.キーボードの挑戦は始まったばかりだといえるだろう。次回は、このキーボードを生産するマレーシア・ジョホールのFUJITSU COMPONENT (MALAYSIA)SDN.BHDにおける生産へのこだわりを追ってみたい。