IDC Japanは1月12日、「2017年 国内コネクテッドビークル市場 個人/事業者ユーザー調査」の調査結果を発表した。これによると、コネクテッドビークル購入/利用について、「興味がある」「メリット次第では検討する」と回答した個人ユーザーは約5割に達したという。
同調査は、コネクテッドビークル(つながる車)と関連サービスに対する国内の個人ユーザーと事業者ユーザーの利用意向や利用阻害要因などを分析。国内の個人ユーザーにおいてはコネクテッドビークルの購入/利用について、「興味がある」「興味はないが、メリット次第では購入/利用を検討する」個人ユーザーが合わせて49.0%に達した。
運転頻度別にみると「興味がある」「興味はないが、メリット次第では購入/利用を検討する」個人ユーザーは「ほぼ毎日運転する」層で46.7%だが「月に数回運転する」層では57.3%となった。
運転上の安全性や移動の効率性などのメリットを提供できるコネクテッドビークルのサービスは、運転頻度が低く運転スキルに自信がない層に高い訴求力を有すると考えられるという。一方、コネクテッドビークルの購入/利用上の阻害要因として、車両価格への関連コストの上乗せ(65.8%)や、料金負担(通信料63.4%、サービス契約料58.6%)を挙げる人が多く存在すると指摘している。
また「個人ドライバーによるライドシェア」サービスに対する利用意向についても調査を行った。米Uberや中国の滴滴出行が海外で展開するような、一般の個人ドライバーが一般車両を使って第三者を輸送し、報酬を得るサービスは国内では「白タク」行為と見なされるため、現在は交通過疎地域における特殊な利用に事業活動が制限されている。
しかし、今後政府では観光振興などを目的に一部の国家戦略特区における規制緩和が検討されている。今回の調査では、個人ドライバーによるライドシェアサービスの利用に「興味がある」「興味はないが、メリット次第では利用を検討する」個人ユーザーが67.8%いることが分かったという。既存の交通手段と比較したメリットが認知されることで、国内にも大きな市場機会があると考えられている。
コネクテッドビークル調査の結果は、ユーザー負担の関連コストや料金が普及の阻害要因になる可能性を示しており、負担の程度次第でコネクテッドビークルの普及スピードは変わると予測している。
同社のコミュニケーションズ リサーチマネージャーの敷田康氏は「自動車メーカーは、車載通信機器の標準装備化促進による車両の関連コスト低減を図り、ユーザーの負担を極力下げる必要がある。同時に、通信機器とスマートフォン対応の拡充による自動車のメディア化を進め、オープンAPI戦略の推進から多様なサービスプロバイダーと連携しコネクテッドビークルならではのビジネスモデルを開発するなど、新たな収益源創出に向けた仕組み作りが求められる」と述べている。