「iPhone X」の予約殺到するなど、iPhoneの圧倒的人気を再確認させられた2017年のスマートフォン市場。では今年、スマートフォン市場には変化が訪れると考えられるだろうか。注目すべきポイントは「AI」「キャリア」そして「中国メーカー」だ。

AI対応チップセットの広まりが何を生み出すか

2017年のスマートフォン端末の動向を振り返ると、やはり「iPhone X」の圧勝という印象が強いのではないだろうか。ホームボタンを排し、前面を5.8インチの有機ELディスプレイが覆うという新しいデザインに加え、人工知能(AI)関連の処理を高速にこなす新しいチップセット「A11 Bionic」の搭載によって、精度の高い顔認証システム「Face ID」を実現。従来のiPhoneとは大きく異なる新機軸を打ち出したことで、iPhone Xは発表直後から大きな注目を集めた。

  • iPhone Xの画像

    2017年に大きな話題となったのは「iPhone X」。従来のiPhoneとは大きく異なる新機軸を打ち出したことが人気となり、品薄の状態が長く続いた

その予約開始直後には、iPhone Xを購入したいユーザーがApple Storeやキャリアの予約サイトに殺到し、発売直後から1ヶ月以上待たされる事態となった。また当初の販売数が少ないことを受け、アップルがiPhone XのApple Store店頭での販売を実施したことから、Apple Storeの各店舗には久しぶりに長蛇の列が現れる事態となった。

日本はiPhone人気が突出して高い国ではあるものの、昨年はiPhone Xの登場によってその人気ぶりを改めて認識させられたといえるだろう。順当にいけば今年には、iPhone Xに搭載された要素が普及価格帯のモデルにも採用されると考えられ、iPhone人気は一層盤石なものとなる可能性が高い。

だがスマートフォンの進化という意味でいうと、iPhone Xが搭載したA11 Bionicのように、AI関連処理の高速化に力を入れたチップセットの活用が、今年は大きな注目を集めると考えられそうだ。同種の仕組みを備えたチップセットは、ファーウェイが「Kirin 970」で既に開発しており、日本でもそれを搭載した「HUAWEI Mate10 Pro」を昨年末に発売している。だがずれも自社スマートフォンへの搭載を前提とした独自のチップセットであったため、AIの活用が他のメーカーへは広がりにくかった。

  • ファーウェイの「Kirin 970」の特徴を示した画像

    A11 Bionicだけでなく、ファーウェイの「Kirin 970」など、AI処理の高速化に対応したチップセットは増加傾向にある

しかし昨年12月に、クアルコムがAI処理の高速化に力を入れたチップセット「Snapdragon 845」を発表している。クアルコムのチップセットは多くのスマートフォンメーカーに採用されているだけに、今年は多くのメーカーのフラッグシップモデルに、AI処理に長けたチップセットが搭載されるだろう。

そうなると注目されるのが、端末側でのAI処理が強化されたことで、どのような機能を実現してくるかということ。AI関連の処理は顔認証だけでなくさまざまな用途に用いられることが考えられるだけに、各メーカーがそれを生かしてどのような新機能を搭載してくるかに、大きな注目が集まるところだ。