「FREETEL」ブランドの通信事業を買収し、契約数が140万に達するなど好調な伸びを見せる楽天の「楽天モバイル」。個人向けサービスとしてMVNOとしてはトップシェアを獲得したものの、低価格という括りではソフトバンクのワイモバイルブランドに大きく水をあけられている。ワイモバイルに追いつくためには何が必要なのだろうか。

FREETEL買収で契約数を140万に伸ばす

大手キャリアの顧客流出防止策などによってMVNOが軒並み軒並み伸び悩む中、順調に成長を続けているMVNOが楽天の「楽天モバイル」だ。楽天モバイルは積極的なプロモーションや実店舗展開などで知名度と販路を急拡大しており、2014年10月のサービス開始から約3年で、105万を超える契約数を獲得するに至った。

そしてもう1つ、楽天のMVNO事業の契約数を大きく伸ばしたのが企業買収である。楽天は、経営危機に陥り12月4日に民事再生法の適用を申請した、プラスワン・マーケティングの、「FREETEL」ブランドの通信事業を11月1日に買収。同ブランドの35万契約が楽天に移ったことで、140万以上の契約数を獲得するに至ったのである。来年の1月15日には同ブランドの通信事業が楽天モバイルに統合されるとのことで、来年以降は名実共に楽天モバイルの契約数としてカウントされることになる。

  • 楽天のMVNOによるモバイル通信事業は100万契約を超えており、買収したFREETELブランドの35万契約を足して140万契約に達している

楽天モバイルが特徴的なのは、大手MVNOの中でも、個人向けの通信サービス利用者が契約数の大半を占めていることだ。契約数だけで言えば、やはりMVNO大手のインターネットイニシアティブ(IIJ)が既に200万契約を超えているのだが、同社は法人向けのビジネスにも力を入れているため、個人向けの「IIJmioモバイル」に限ればその契約数は97万となっている。個人向けだけで140万もの契約数を持つ楽天が、いかにMVNOとして大きな存在感を持つかが理解できるだろう。

しかも楽天モバイルの顧客は、従来のMVNOの主要顧客層と言われてきた30~40代から、20~30代へと、スマートフォンをより積極的に利用する若い世代へと移ってきている。従来、MVNOはiPhoneを正規に取り扱うのが困難であり、若い世代の獲得は難しいと言われてきたが、楽天モバイルはそうした世代の攻略にも成功しつつあるようだ。