シェアサイクルで注目されている企業として中国のモバイクがあげられる。そして、その日本法人となるモバイク・ジャパンが大きな動きをみせた。LINEと資本業務提携を結び事業展開を図るのだ。新たなパートナーとの展開で何が変わるか。

  • 写真左:LINEの出澤剛代表、写真右:モバイク創業者のHu Weiwei氏

シェアサイクル事業で注目すべきこと

モバイクは世界200都市以上でシェアサイクル事業を展開する企業だ。登録ユーザー数は2億人以上、1日あたりの最大利用回数は3000万回以上にのぼる。国内では今年8月から北海道の札幌市で事業を開始。それ以後、大きなニュースはなく次の一手が注目されていた。

その一手がLINEとの資本業務提携だった。LINEと資本業務提携を結び、国内におけるシェアサイクル事業を両社で展開していく。LINEは国内月間利用者数7000万人超に達する豊富なユーザーベースを活用、LINE Payとの連携によるLINE内での決済、官公庁や自治体、企業とのアライアンスの促進によるインフラ整備のサポートなどを行なう。対してモバイクはサービス運営、自転車の提供、アプリや業務システム開発を進めていくという。2018年上半期をメドに両社の力を合わせたサービスを提供していく考えだ。

  • 業務提携における各社の役割

今回の発表で公表されたことは非常に少ない。サービスインのエリアも明かされていないが、注目したいのはLINEが行なうインフラ整備のサポートの部分である。シェアサイクル事業で重要になるのは、駐輪スペースだからだ。

今、注目を浴びているシェアサイクルは、人口の多い都市部において、数多くの自転車を用意し、1日に何度も利用されることで収益化できる。利用促進を図るには、利便性が高くなければならず、駐輪ポートをいかに確保するかがビジネスに大きな影響を与える。

シェアサイクル事業において、先行するドコモ・バイクシェアの堀清敬社長は、かつて本誌に次のように語ってくれた。「駐輪ポートが増えればサービス利用も指数関数的に増えていく。そうなると露出が増えて認知度が高まり、さらに利用が増える」(堀氏)。同氏の言葉どおり、駐輪ポートの確保は、サービス利用の増加、ひいては収益の点からも非常に重要なのだ。