東芝は、次世代の半導体パワーデバイスとして期待されるGaNパワーデバイス向けに、信頼性向上に繋がるゲート絶縁膜プロセス技術を開発したことを発表した。この技術により、しきい値電圧変動等の特性変動が大幅に低減できる。

  • 開発技術のプロセスフロー

    開発技術のプロセスフロー

スイッチング電源やサーバ電源などの電子機器に用いられる電源には、従来よりシリコンを用いたパワーデバイスが使用されている。より優れた材料物性を有する窒化ガリウム(GaN)を半導体材料とするトランジスタを使うことで、電源の高効率化が期待されている。高速性に優れるGaN-MOSFETは、これまでの技術ではしきい値電圧の変動が課題となり実用化には至っていなかった。

同社は、GaN-MOSFETのしきい値電圧変動を起こす要因が、ゲート絶縁膜中の不純物トラップにあることを突き止め、ゲート絶縁膜中不純物を極限まで低減するプロセス技術を開発することに成功した。GaN半導体加工時のダメージを回復する処理を施した上で、形成したゲート絶縁膜に適切な熱処理を加えることで、ゲート絶縁膜中に含まれる水素等の不純物を極限まで低減できる。これにより、従来技術と比べてしきい値電圧変動が大幅に低減し、高いゲート信頼性を実現する。

  • 開発技術によるしきい値電圧の低減

    開発技術によるしきい値電圧の低減

この技術を適用したGaN-MOSFETにより、GaNパワーデバイスの信頼性が向上し、さらなる普及が期待できるとしている。なお、同技術の詳細は12月6日、サンフランシスコで開催される国際学会IEDM(International Electron Devices Meeting)にて発表された。