日本総合研究所(以下、日本総研)は、慶應義塾大学および栃木県茂木町と共に研究中の自律多機能型農業ロボット「DONKEY(仮称)」について、仕様をはじめ、用途や事業性の検討を行う「DONKEY開発コンソーシアム」を設立したと発表した。

DONKEY(仮称)ベースモジュール+走行アタッチメントのイメージCG

DONKEY(仮称)ベースモジュール+走行アタッチメントのイメージCG

DONKEYは、自律稼働・自動追従、監視・防除、画像取得、情報計測、通信機能などを標準装備した自律多機能型農業ロボット。着脱式のアタッチメントを本体に追加することで、運搬・作業管理、除草などの機能の拡張が可能となっている。また、作業中に取得できる各種データをユーザーの共有サーバーに蓄積し、データ解析による栽培ノウハウ抽出・収穫予測や外部システムとの連携を通じて、農業の生産性改善、研究開発の促進、需給マッチング・調整、農業金融への情報インフラ提供など、新規ビジネスのためのプラットフォームとしても機能する。

日本総研は、日本の農業を高付加価値の「儲かる農業」にまで高めた形で推進すべきと考えており、除草、圃場の見回りといった頻度の高い管理作業や運搬などの負担の大きい労働の支援作業を行うDONKEYのコンセプトを考案し、慶應義塾大学との共同研究を進めてきた。また、茂木町とは、同町の農業生産者からの協力や実証の場となる圃場の確保などへの支援を受けながら、同ロボット導入による先進農業モデルのあり方、そしてその先の具体的な地域振興策について共に検討を行っているという。

同コンソーシアムは、これらの研究を発展させる形で設立され、日本総研のほか、アルプス技研、三井住友ファイナンス&リース、ユアサ商事、慶應義塾大学、茂木町、そして国内の輸送機器メーカー、システムインテグレーターから構成されている。各者の人材・知見・技術・開発資金などの資源を結集することで、同ロボットの仕様検討・開発を加速させ、社会実装の早期実現を目指すという。

具体的には、DONKEYの用途を検討し、作業性ばかりでなく、コスト効率にも十分考慮しながら、農業経営に真に寄与する用途を見いだすという。また、プロトタイプを開発し、これまで日本総研が検討してきた用途のほか、検討結果を実現するためのアタッチメントおよびデータのプラットフォームを製作し、農業生産者が検証する。なお、年内にはプロトタイプを完成させ、2018年3月までに圃場での実証を開始する予定となっている。そのほか、同ロボット事業の成長戦略を検討し、新たなアタッチメント(用途)の開発計画を含め、市場投入から普及・浸透までの計画を策定する。また、同ロボットが収集するデータを活用した新サービスの開発や、農業を核とした地域経済のエコシステムを構築するための構想の検討も行われるということだ。

なお、同コンソーシアムの活動期間は11月6日~2018年3月31日。活動期間後、日本総研は、同コンソーシアムにおける成果を基に、DONKEYの研究開発・販売を目的とする事業体の設立を目指す予定となっている。