こうした背景を受けて、JTは去年7月からTREASURE CDPの本格運用を開始している。オウンドメディアのログの蓄積に加え、JTスモーカーズIDの会員属性情報、キャンペーンの登録実績など社内で保有するデータを統合してデータ解析を開始しているという。そこから、どのような気づきが得られたのだろうか。

平谷氏がまず挙げたのは、キャンペーン施策効果の深い検証だ。JTではオンラインだけでなく販売店の店頭や協賛イベントの喫煙所で行うキャンペーンなど、リアルの様々な場面でノベルティなどの配布など特典を付けるなどしてJTスモーカーズIDへの登録を促している。

理想としては、登録した会員に対してJTが様々なオウンドメディアを紹介して、継続的なアクセスを生み出していくことなのだが、実際のところはリアルなキャンペーンで登録した会員は特典に興味を感じていただけで、その後にウェブでアクションしてくれる割合は著しく低いことがわかったのだという。

「施策の実施から会員登録後の動きまでをモニタリングすることで、JTスモーカーズIDに登録したがサービスを使っていない顧客はどういう特徴があるのかを洗い出すことになり、現地でのコミュニケーション方法を変えたり、会員登録後のアプローチを見直すことに繋がりました」(平谷氏)

「TREASURE CDPの本格運用が始まって、各ブランドのブランドマネージャーがデータを活用し始めています。それまで誰かにお願いしていたデータ分析が自分たちで自由にできるようになったことで、作業が大幅に効率化しました。顧客をスコアリングして将来の銘柄変更などを予測するといった、今まで発見できていなかった顧客のセグメントや行動傾向の把握ができるようになりました」(平谷氏)