11月13日(米国時間)、スーパーコンピュータ(スパコン)の処理性能ランキングである「TOP500」の2017年11月版が発表された。
50回目となる今回のTOP500は、これまで同様、中国National Research Center of Parallel Computer Engineering & Technology(NRCPC)が開発し、National Supercomputing Center(Wuxi)に設置されているスパコン「Sunway TaihuLight(神威・太湖之光)」がLINPACKのベンチマーク93.014PFLOPS/s(消費電力15.3MW)で1位を獲得。2位には中国National University of Defense Technologyの「Tianhe-2(Milky Way-2/天河2号)」(33.862PFLOPS、17.8MW)が入り、2013年6月版で天河2号がトップに立ってから、中国のスパコンが10回連続でトップを飾った。 3位には前回同様、スイスSwiss National Supercomputing Centre(CSCS)の「Piz Daint」が19.590PFLOPS(2.272MW)がランクイン。そして4位に、日本の海洋研究開発機構(JAMSTEC)が導入したPEZY ComputingやExaScalerが開発を進めてきたスパコン「暁光(Gyoukou)」が前回の69位(日本勢としては10位)から、一気に順位をジャンプアップさせてランクインした。Gyoukouは前回のランキングの際は、システムのごく一部の稼動での性能であり、以降、システムボード全数を各種の改良を盛り込んだ最新世代となる「ZettaScaler-2.2」に更新したほか、稼働システム規模の拡大とソフトウェアの最適化を行い、さらなるシステム性能の改良を図ってきた。その結果、システム規模19.5筐体相当(CPU1万個)の構成で、LINPACK性能として19.136PFLOPS(実行効率は67.9%)、消費電力あたりの演算処理性能は14.17GFLOPS/Wを達成。その結果、TOP500の4位獲得と併せてGreen500でも5位にランキングされたという。
4位にGyoukouが入った結果、米国トップのスパコンである米オークリッジ国立研究所(ORNL)の「Titan」(17.590PFLOPS、8.2MW)は5位に、また前回5位の米ローレンスリバモア国立研究所(LLNL)の「Sequoia」(17.173PFLOPS、7.9MW)が6位に、そして前回6位の米国立エネルギー研究科学計算センター(NERSC)の「Cori」(14.015PFLOPS、3.94MW)は、同じく米国の米ロスアラモス国立研究所(LANL)とサンディア国立研究所(SNL)の「Trinity」(前回10位、性能は8.100PFLOPS、4.23MW)が14.137PFLOPS(3.844MW)で7位に入った結果、8位へとそれぞれ順位を下げている。
9位には、日本の東京大学と筑波大学が協力して進めてきた最先端共同HPC基盤施設(JCAHPC)のスパコン「Oakforest-PACS」(前回7位)が13.554PFLOPS(消費電力2.719MW)で、そして10位には、かつて世界一にもなったことがある理化学研究所の「京」(前回8位)が10.510PFLOPS(12.66MW)でランクインしており、これで日本勢のスパコンは上位10システム中3システムにランクインしたこととなる。
また、主要国別に見たTOP500に属するスパコン設置数だが、前回のTOP500では、米国169、中国160とまだ米国の方が若干上回っていたが、今回のTOP500ではそれが逆転し、中国が202、米国が143となった。以降は、日本が35(前回33)、ドイツが20(前回28)、フランスが18(前回17)、英国が15(前回17)となっており、全500システムの演算能力は845PFLOPSと、前回の749PFLOPSから約100PFLOSほど向上し、181のシステムが1PFLOPS超えを達成(前回138システム)したという。
なお、102システムがアクセラレータ/コプロセッサを採用しており(前回91システム)、その内訳としては、NVIDIAが86システム(前回74システム)、Xeon Phi(コプロセッサ用途)が12システム(前回17システム)、PEZYが5システム(前回2システム)となったほか、採用CPUとしてはIntelが471システム、IBM Powerが14システムとなっている。